【最前線】マイクロソフト、哲人ナデラが語った「5つの未来」

2018/5/19

アップルを褒めたゲイツ

「今朝、目を覚まして、ニュースを見ていると、ビル・ゲイツが株について話してたんだよ。しかも、アップルの株についてだったんだ」
5月7日、マイクロソフトが開いた開発者向けイベント「Build 2018」。巨大な会場を埋め尽くした6000人の聴衆を前に、CEOのサティア・ナデラは、基調講演の冒頭で、いきなりこう切り出した。
ビル・ゲイツの発言とは、ウォーレン・バフェットがアップル株を買い増ししたことに賛同し、「アップルは素晴らしい企業だ」と発言したことだ。
「少なくとも、ビルとは30年来の知り合いだけど、彼が株について話すのなんて初めて聴いたよ。ビルがアップル株について話した今日は、新しい日だ。そして、それが新しいマイクロソフトなんだよ(笑)」
もちろん、これはスピーチの始まりを盛り上げるジョークではあるが、とはいえ完全な冗談とはいえない。
マイクロソフトは、2014年のナデラのCEO就任から、一気に復活の道のりを駆け上がっているが、確かに、かつてのライバルをあえて称賛するゲイツの発言は、その「変革」を象徴しているともいえるのだ。
そこに見えるのは、かつて20年近く前にウィンドウズPCで巨大な「帝国」を作り上げた姿とは全く異なる、一度苦杯をなめた企業だけが出せる「成熟」のスタンスだ。