中国初の国産空母が試験航海=来年にも就役、実戦配備想定
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中国初の国産空母の試験航海は、何度か延期されたようです。大型艦艇のシステム統合は難しいものです。
中国海軍は、1998年にウクライナから購入した、ロシア海軍のために建造されていた「ワリヤーグ」を修復して、訓練空母「遼寧」を建造しましたが、その修復にずいぶんと苦労しました。
まず、修復すると決定するまでに5年の時間を要しています。2003年に修復を決定して以降、就役するまでにさらに9年間を必要としたのです。
中国は、「遼寧」の修復によって貴重な空母建造のノウハウを得たと思われますが、それでも十分だとは言えません。たった1隻、しかも修復しただけで、建造技術の全てが得られるほど、空母建造は単純ではないでしょう。
航空機を運用するための構造だけでも、想像を超える多数のノウハウを必要とするのです。中国は、これからも国産空母を完成させるための努力を必要とするでしょう。
一方で、中国は、今すぐにでも、自らの空母打撃群を中東等の地域に展開したいはずです。シリア問題やイランの核兵器開発問題、サウジアラビアとイランの対立等、中東が軍事的にきな臭くなっているからです。
中国にとってみれば、米国が実力行使を厭わない姿勢を示し始めたことがその原因です。米国にとっては、国際秩序に挑戦する動きを許さないということであっても、です。
中国は、米国とロシアの軍事的なゲームになる可能性のある中東等に、自らの軍事プレゼンスを示す必要性を感じているのです。中国指導部、共産党中央の危機感は、中国の軍備増強、特に空母打撃群の構築を急がせることになります。今回試験航海に出たのは、通称001A(まだ名前がついていないのです)と呼ばれている中国初の国産空母です。
設計はウクライナから購入した旧ソ連空母ワリヤーグを改装した空母遼寧をベースに、本来対艦ミサイルなどが収納されていたスペースを使ってエレベータを増強することで、遼寧より8機多い、殲15戦闘機、直18輸送ヘリ、直9救難ヘリ、カモフ31早期警戒ヘリ、合わせて36機を搭載可能にしたと言われています。
ただ写真でも分かる通り、カタパルトを搭載しないいわゆるスキージャンプ方式の甲板で、しかも艦載機の殲15は33トンもある世界最重量の艦載機であるため、ある程度スピード上げた上で、搭載火器は最小限にして、しかも一機づつしか発艦することができません。
従って、アメリカの空母とは比べ物にならないレベルでしかありませんが、建艦の意味は二つあると思われます。
一つは現在建艦中のカタパルトを装備した新型空母の運用テストのため。
もう一つは、将来アメリカがアジアより撤退、又は軍事力を削減した時、その穴を埋める形で西太平洋のプレゼンスを確保するためのです。
このクラスの空母でも、アメリカ抜きでは対抗できる国はほとんどありませんから、中国が目指しいる空母6隻体制が完成すれば、対アメリカ以外ではアジア太平洋では比類のない戦力となることでしょう。
日本としては空母の建艦競争をしたところで勝ち目はないので、いかにアメリカと連携していくかという外交手腕が更に問われることになると思います。