Eコマース企業ブカラパック(Bukalapak)がM&Aチームを発足させた。ザッキーCEOは、数多くの中小規模の起業家たちをつなぎたいと語る。

M&Aでさらなる市場拡大を狙う

インドネシアのブカラパック・コム(Bukalapak.com)は、トコペディア(Tokopedia)などの大手ライバルが軽視してきた農民や小規模な商人に注力することで、10億ドル規模のスタートアップに成長した。そのブカラパックが今度は、M&Aで市場を拡大しようとしている。
500 Startupsなどから資金を調達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしたブカラパックがM&Aチームを立ち上げた。2025年までに会員を1000万人に増やすという野望を達成するため、その助けとなるスタートアップを見つけることが狙いだ。
ブカラパックのアフマド・ザッキーCEOによれば、現在の会員数は300万人だという。
中国のアリババ・グループ・ホールディングやJD・コム(京東商城)といった世界的なeコマース企業にとって、インドネシアと2億6000人に上るその国民は、喉から手が出るほどほしい市場だ。
インドネシア語で「屋台」を意味するブカラパックは、特売品や中古品を探す人たち向けのバザーのような存在だ。
創業から8年だが、スマートフォンの急速な普及とともに台頭し、東南アジア最大の経済を持つインドネシアでも数少ないユニコーン企業の一つとなった。その品ぞろえは、アリババの傘下にあるオンラインモール、トコペディアをも凌ぐ。
ただし、ブカラパックは単なるディスカウントストアではない。100ルピー(約1セント)のプラスチックの兵隊もあれば、60億ルピーの宝石も販売されている。バタビア・インキュベーターの支援も受けており、もう少しで黒字に転換できるとザッキーCEOは話す。

急成長するインドネシアのeコマース市場

ザッキーCEOは現在31歳。8年前に、ヌグロホ・ヘルカヒョノ、ムハマド・ファジュリン・ラシドとともに、バンドンで借りた部屋においてブカラパックを立ち上げた。
南ジャカルタのオフィスでインタビューに応えたザッキーCEOは「かなりの売り上げを得られるようになった。市場にはまだ大きな成長の余地がある」と述べた。「だからこそ、われわれは成長を維持するためにアグレッシブに走り続けている」
マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、インドネシアのeコマース市場は世界でも例がないほどの急成長を遂げており、eコマースを含むデジタル経済は2025年までにインドネシアのGDPを年間1500億ドル押し上げる見込みだという。
インドネシアの企業にはほかに、ライドヘイリングサービスを提供するゴジェック(Go-Jek Indonesia)や、オンライン予約プラットフォームを運営するトラベロカ(Traveloka)などがある。
インドネシアの消費者はインフレや交通渋滞に悩まされており、オンラインサービスは魅力的な代替手段となっている。ブカラパックは、700以上の島に散らばる売り手と買い手を結び、そこから利益を得たいと考えている。
バンドン工科大学出身のザッキーCEOは「2025年はずいぶん先だが、われわれは創業当初から、中小規模の起業家に力を与えたいという夢を持ち続けてきた」と語った。「2025年までには数千万のユーザーを獲得したいと思っている」
ザッキーCEOによれば、今のブカラパックには市場拡大のための十分な資金があるという。インドネシア証券取引所への上場についても話し合っているが、近いうちに新規株式公開(IPO)を行う予定はなく、3人の創業者が株式の過半数を保有し続けているという。
「最終的には、すべての企業が株式を公開すべきだと思う。いつまでも赤ん坊でいるわけにはいかないし、IPOは大人になることを意味するためだ」
原文はこちら(英語)。
(執筆:Rieka Rahadiana記者、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:Felix_Indarta/iStock)
©2018 Bloomberg L.P
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.