[東京 12日 ロイター] - ファーストリテイリング<9983.T>は12日、2018年8月期(国際会計基準、IFRS)の業績予想を上方修正すると発表した。国内外のユニクロ事業が好調に推移している。特に、海外ユニクロ事業は9―2月期(上期)で65.6%増益となっており、業績をけん引している。

連結売上収益は2兆0500億円から2兆1100億円(前年比13.3%増)、営業利益は2000億円から2250億円(同27.5%増)、純利益は1200億円から1300億円(同9.0%増)へとそれぞれ引き上げた。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト18人の営業利益予測の平均値は2213億円となっている。

9―11月期時点で業績は会社計画を上回って推移していたものの、収益を左右する秋冬シーズンが終わっていなかったため、計画を据え置いていた。

柳井正会長兼社長は会見で「あと数年で確実に売上高3兆円にいける」と述べた。ユニクロ事業が国内外で好調なのは「われわれの服が理解され始めて、ブランドとして確立してきた。世界の人口全部に受け入れられる可能性を感じている」と自信を示した。

上期の国内ユニクロ事業は29.0%増益、海外ユニクロ事業は65.6%増益、ジーユー事業は23.3%増益、グローバルブランド事業は赤字となった。

国内ユニクロの既存店売上高は、寄与の大きな秋冬が寒かったことで、上期8.4%増と会社計画を上回って推移。急激に暖かくなった3月も春夏商品やジーンズの販売が好調で、13%増と大きく伸びた。下期は約2%増の計画としている。

上期のEC売上高は前年同期比31.6%増の372億円で、売り上げ構成比は7.5%となった。下期も30%増を見込んでいる。売り上げ構成比は30%まで高めることを目指している。

海外ユニクロ事業は、下期も大幅な増収増益を計画。北米事業は赤字が半減する見通しとなっている。

国内外のユニクロ事業で、EC比率を現在の9%から2022年度に2倍以上にする。また、ユニクロ事業の売上収益は、17年度の1兆5400億円を5年後に2倍にする目標を示した。

ECサイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイ<3092.T>は、着るだけで採寸ができる「

ゾゾスーツ」の配布を始めているが、柳井社長は「ゾゾスーツも良いが、スマートフォンを使ったり、店舗で瞬間的に採寸できるなど、より簡単にできる方法を鋭意研究中」と述べた。

<経営の中核担う人材、育っている>

柳井社長は「皆さんの関心事として後継者問題があると思う」と自ら切り出し、「現状の経営陣は結構良い線を行っている。何も心配していない。優秀な人材が国内外で経営経験を積むことで、経営の中核を担う人材が育ってきた」と述べた。

また「引退するつもりはない。創業者なので一生関わりあいたいと思っている。ただ、老齢化で体力・精神力が衰えていく。これが限界だと思う時にいつでもスムーズに交代できる体制だけは作っておきたい」とした。

*内容を追加しました。

(清水律子)