真相。売り上げ7割を占める小室哲哉との「決別」

2018/7/9

異様な小室ブーム

trfから始まった90年代半ばの小室ブームは、ただただ異様でしたね。
trfは5連続ミリオン、篠原涼子の「恋しさとせつなさと心強さと」、ダウンタウンの浜田雅功さんとのH jungle with t名義の「WOW WAR TONIGHT」、さらに、globe、安室奈美恵、華原朋美と、TKプロデュースの曲でオリコンチャートがほぼ埋め尽くされるという状態でした。
小室さんもすごかったんですけど、世の中のムーブメントみたいなものとうまくシンクロしたところもありました。
あの頃は、百貨店でもCD売り場が1階にあったりして、CDを買うというのがオシャレなことだったんですね。みんな、CD店の袋を持って、渋谷や新宿を歩くことに憧れていたわけです。
ですから、小室ブームが終息するのと、CDの売り上げが落ち込んでいくのが連動しているんですね。小室さんの才能と世の中の動きがかけ合わさって、ああいう異様とも言える小室ブームになったのだと思います。

売り上げの7割が小室案件

エイベックスの売り上げも7割が小室案件でした。売り上げは急増しているけど、ある意味、健全とは言えない売上構成ではありました。
小室さんの忙しさも尋常じゃなかったですね。
安室奈美恵の「You’re My Sunshine」という楽曲があるんですけど、CMのタイアップが決まっていて、15秒分を先にCM用に納品しなければならない。本当は楽曲が完パケしてから、CM用を作ればいいんだけど、そんな時間がない。先にCM用を作って、後から楽曲を作る。
それで楽曲が出来上がってみたら、CM用に納品した楽曲と全然違う、まったく別の曲になっちゃってるんですよ。どうするの、これ?って話になって、無理でもなんでもつなげちゃおうって。それしかないよって。
今、聞いてもらえばわかるんですけど、最初のゆっくりとしたフレーズが終わると、間奏があって、音をグーンとあげて無理やりつないじゃっているんです。
でも、それが「小室哲哉の天才的で斬新な展開」みたいなことになっちゃうんです。もうあらゆることが普通じゃなかったです。

腫れ物のような小室さん

その頃、僕は小室さんのマネジャーみたいなことをしていました。あの時期、誰もが小室さんのことを腫れ物に触るようなことになって、言うべきことも言えない。
小室さんが仮眠をとっていると、時間がきても誰も起こしに行けないんです。それを起こしに行く、誰も言えない言うべきことを言うというのが僕の仕事でした。