【木村泰司】美術史が世界のエリートの教養になった理由 

2018/4/9
独自の視点と卓越した才能を持ち、さまざまな分野の最前線で活躍するトップランナーたちが、時代を切り取るテーマについて見解を述べる連載「イノベーターズ・トーク」。
第132回(全5回)は、西洋美術史家の木村泰司氏が登場する。
テーマは、ヨーロッパ2500年分の美術の歴史だ。
美術や絵画というと、日本人は「感性で見るもの」と捉えがちだ。だが、木村氏は「感性だけで理解できるものではなく、そもそも美術とは“見る”ものではなく、“読む”ものである」と語る。
なぜなら、西洋美術とは宗教・思想など一定のメッセージを伝える手段として古代から発展してきたもので、美術品とは各時代の宗教、政治、風習、価値観などを造形化したものだからだ。
例えば、古代ギリシャの彫像の多くが裸だったこと、17世紀のオランダで教訓を込めた風俗画が人気を博したことなどにも、その時代の価値観が強く反映されている。
そして、そんな西洋美術の背景を知ることは、「グローバル社会でのコミュニケーションにも欠かせない教養である」と木村氏は言う。
古代ギリシャから、中世ルネサンス期のイタリア、ネーデルラント、そして近代フランスまで、海外で恥をかかないための西洋美術史の知識と醍醐味を聞いた──。