(Bloomberg) -- 野村ホールディングスがソフトバンクグループによる携帯子会社ソフトバンク(SB)の2兆円規模の新規株式公開(IPO)計画で、総合的な観点から助言を行っていることが、複数の関係者への取材で分かった。

関係者によれば、ソフトバンクGは公募売り出しで、売却する株式の大半を国内の個人投資家向けとすることを検討している。野村HDはグローバルオファリングでの投資家への販売戦略のほか、企業統治(コーポレートガバナンス)や東京証券取引所に提出する書類の作成、審査対応などで助言しているもようだ。

これにより野村は、1998年のNTTドコモ以来最大規模となり得るソフトバンクのIPOでグローバルコーディネーターへの就任が有利になる可能性がある。引き受け手数料やリテール(個人)顧客の新規口座の獲得、上場後(セカンダリー)の関連業務で収益機会を得ることができる主幹事を巡って、米ゴールドマン・サックスなど国内外の金融機関と競合することになる。

野村の佐藤誠士広報担当は個別の事案についてはコメントできないと述べた。ソフトバンクの小寺裕恵広報担当はコメントを控えた。

上場準備に着手

ソフトバンクGは2月7日、携帯子会社の新規株式公開で準備を開始すると発表。1年以内の上場を目指している。世界のテクノロジー企業に投資を加速するソフトバンクGと、通信事業の中核企業としてのSBの役割と価値を明確に分けるのが目的としている。

孫正義社長は7日の決算会見で、SBの上場について「ソフトバンクGとしては配当が入れば継続して投資でき、財務バランスの強化にも役立つ」と指摘。上場によりグループの事業内容を市場に分かりやすく示せるほか、携帯子会社の自律的な成長を促し、経営基盤の強化につながると説明した。ただ、検討の結果次第では上場を見送る可能性もあるという。

主幹事獲得競争へ

野村ほか国内外の証券各社は、巨額に上る今回のIPOに大きな関心を寄せている。関係者によれば、ソフトバンクは主幹事選定のための募集要項をまだ配布していないが各社は準備を進めており、主幹事獲得競争は始まっている。

ソフトバンクGは国内外の売り出しの比率や海外での上場の有無など、IPOの詳細についてはまだ検討中で何も決まっていないとしている。ただ、関係者によると、調達金額は2兆円を上回る可能性が十分にある。

ブルームバーグ・データによれば、98年10月に上場したNTTドコモのIPOでは、日興証券(当時)とゴールドマンが引き受け主幹事を務めた。

英語:SoftBank Is Said to Work With Nomura on $19 Billion Mobile IPO

(第9段落にNTTドコモIPOの主幹事について追加しました.)

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