「黒田日銀総裁再任」で私たちの生活は変わる?

2018/2/19
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
19日は、慶應義塾大学 経済学部教授土居 丈朗(どい・たけろう)さんが出演。
土居さんは、慶應義塾大学 経済学部教授で、ご専門は財政学、公共経済学。また、政府税制調査会委員をはじめ、さまざまな政府会議メンバーを兼任されていらっしゃいます。今日は「政府、黒田日銀総裁再任へ(共同通信)を題材に、日本経済の現状と今後の行方についてお話いただきました。
POINT 1:
日銀・黒田総裁再任の意味

今年4月に任期を終える黒田東彦日銀総裁の再任に向けて、政府は総裁・副総裁の人事案を国会に提出した。任命には国会の同意が必要だが、衆参両院とも与党が過半数を確保している。大規模な金融緩和を進め、アベノミクスを支えてきた黒田氏の続投により、このまま緩和路線の維持してデフレ脱却を目指すことになりそうだ。
「(2013年の就任時、デフレを止めるために)黒田総裁は『2年で2%』の物価上昇を達成させると宣言しましたが、道半ばでした。
物価の安定を担う日銀としては、我々の生活に混乱を起こさない程度の緩やかな上昇になるようコントロールする必要があります。
黒田総裁のほかに、この政策を引き継げる人が見当たらなかったのでしょう」(土居さん)
POINT 2:
物価とお金の価値の関係
「例えば昨年1万円で買えたものが、物価が下がって9000 円で買えるようになるとします。物価が下がるのを『お金の価値が高まった』と捉えることもできます。つまりデフレを止められるかは、お金の価値を適切に下げられるかにかかっています」(土居さん)
「デフレが止まって物価が上がっても、お給料が上がらなければ、私たちの生活はどうなってしまうのでしょう」(寺岡さん)
「たしかに、お給料と物価のどちらが早く上がるかで、得をする人、損をする人が出てくるかもしれません。ただ、このままデフレが続けば、賃金が上がらずに消費が落ち込み、企業側も商品の値下げせねばならず、売り上げも下がってしまいます。
日銀は市場に供給するお金の量を調節することで、物価の緩やかな上昇を目指そうとしています。物価が上がれば、それに連動して会社の売り上げも増えて、従業員の賃金を上げられるかもしれない。賃金が上がれば、より多く、高い値段のものでも買えるようになるかもしれません」(土居さん)
POINT 3:
再任後の5年間のシナリオとは?
「今後の日本経済はどうなるのでしょう?」(サッシャさん)
「一番の理想は、任期の途中までに物価上昇2%を実現し、賃金や金利が上がって豊かになることですが、『そんなにうまくいかないだろう』と予想する専門家も少なくありません。
市場に供給したお金の影響が突然あらわれて、物価が上がり出して『2%を大きく超えて物価が5〜7%上昇してしまう』シナリオも考えられますし、次の5年間もデフレから脱却できない可能性もあります」(土居さん)
「5年の任期中には、東京オリンピックもあります」(サッシャさん)
「1964年の前回の東京オリンピックのときは競技場や高速道路などつきつぎと作りましたが、今回の設備投資はそこまでの規模ではありません。オリンピックの前に比べて、設備投資がどれくらい下がるか、その落差が大きいかどうかで影響の度合いが変わってきそうです」(土居さん)
今回のニュースをはじめとした土居さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
2月20日は、スローガン 代表の伊藤 豊さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】
放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください