[東京 14日 ロイター] - キリンホールディングス <2503.T>は14日、2018年12月期の業績(国際会計基準)のうち、売上収益から売上原価や販管費を差し引いた事業利益で前年比0.9%増の1960億円を見込んでいると発表した。日本基準での営業利益は1600億円(前年比3.2%増)と増益の見通し。

また、中計で掲げていたフリーキャッシュフロー創出目標を1年前倒しで達成したことから、1000億円・5000万株を上限に自社株買いを行うことも発表した。年間配当は48円(前期は46円)を計画している。

18年12月期は、薬価基準の引き下げにより医薬・バイオケミカル部門が減収減益となるが、キリンビールやキリンビバレッジ、海外事業などの寄与で増益となる。

2018年のビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル)の販売は前年比0.3%増の1億2880万ケースを目指す。17年にシェアを落とす要因となった新ジャンルでは、新商品「本麒麟」を投入し、同5.4%増と巻き返しを図る。また、他社に比べて先行しているクラフトビール事業も拡大を図るほか、伸長が続くRTD(Ready To Drink)は18.2%の伸びを見込む。

16年からの3カ年で計画していたコスト削減目標300億円は2年間で達成。18年12月期は、原材料調達や稼働率向上など、グループ全体で46億円のコスト削減に取り組む。

同社はベトナム国営ビール最大手、サイゴンビール・アルコール飲料総公社(サベコ)<SAB.HM>の株式取得を見送った。海外での投資について、磯崎功典社長は「中期的にみるとアジア・オセアニア。ただ、サベコが終わり、そうそう大きな話はない」としながらも「ビールにとどまらず、飲料などチャンスの芽はある。長期的にみれば、新たな健康中心の領域も全部を自前主義でやるつもりはない。それに伴ってM&Aも発生してくる」と述べた。

2017年12月期の連結売上収益は前年比0.5%増の1兆8637億円、事業利益は同6.8%増の1943億円となった。日本基準の営業利益は1550億円で、会社計画の営業利益1520億円を上回り、過去最高益となった。

新ジャンルが落ち込んだことで、ビール類の販売数量は4.3%減となったが、RTDやノンアルコールビールの利益貢献や販売費の削減、原材料費の削減により、キリンビールは減収増益となった。一方、飲料事業では主力商品の「午後の紅茶」や「生茶」の販売が好調で、大幅増益となった。

*内容を追加しました。