【スクープ】さらばパナソニック!迫りくる「紅い電池」の正体

2018/2/15

トヨタ幹部が「極秘接触」

2017年12月15日。トヨタ自動車とパナソニックが新たに電気自動車(EV)向けの「電池」で協業の検討を発表して世間を驚かせてから、わずか2日後のこと。
この日、愛知県豊田市のトヨタ本社には、ある別の電池メーカー関係者の姿があった。
CATL(寧徳時代新能源科技有限公司)。2011年に突如として誕生し、たった6年の間に一気に頭角を現した、中国の車載用電池ベンチャー企業だ。
「トヨタのEVと電池事業のキーマンである、安部静生・常務理事とも面会し、中国市場での電池の採用について、商談を進めたと聞いています」(トヨタ関係者)
トヨタの本社には世界中からさまざまなサプライヤーが訪れる(写真:田村翔/アフロ)
世界最大のEV市場をもつ中国にあって、EVの心臓部である「電池」のベンチャー企業は無数にある。
CATLもほんの3年前までは、海のものとも山のものともつかない電池ベンチャーの一つであり、その名を知る者はほとんどいなかった。
しかし、ここ数年で一気に業界内で知名度を上げ、今や電池メーカーのビッグ3といわれるパナソニックや韓国のサムスンSDI、LG化学などと肩を並べている。
トヨタ内部においては、「ビッグ4」の一角として数えられる企業だ。
それもそのはず。すでに中国国内では、独最大手フォルクスワーゲン、独メルセデス・ベンツ、独BMW、仏ルノー、米ゼネラルモーターズなど、名だたる欧米自動車メーカーが軒並み、このCATL製の車載用電池を採用しているのだ。
そして今年、ついに日系自動車メーカーが採用を決めたことが、NewsPicks編集部の取材で明らかになった。
決めたのは、日産自動車と中国の東風汽車集団の合弁会社だ。2018年上期にも投入される電動車に搭載されるという。
電気自動車「リーフ」を筆頭に日産はEVで先行している(写真: Bloomberg/Getty Images)
さらにトヨタ、ホンダもここにきて急接近しており、同じように中国での電池採用について、話を進めている模様だ。次に決めるのは、おそらくホンダだろう。
わずか7年前にはこの世に存在しなかった企業が、100年の歴史を持つパナソニックや、韓国勢など大手企業を出し抜いて、まるでオセロをひっくり返していくかのように、次々と打ち負かしていく──。
なぜ、CATLは、大手電池メーカーの一角にまで急成長することができたのか。NewsPicks編集部は関係者への取材を重ね、その実像に迫った。