自給率はわずか8%、意外と知らないエネルギー源の調達国
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エネルギーは地産地消が広がるはずです.従来の系統電源との組み合わせになるでしょうが,再生可能エネルギーの比率を高め,分散型電源化していくでしょう.小規模な発電施設を相互にネットワークでつなぐマイクログリッド.自然条件によって増減する発電量と需要をすり合わせて最適化をはかるスマートグリッド.大規模なインフラがからむので,時間がかかると思いますが変貌を遂げていくでしょう.
ICT,モビリティ,シェアリングエコノミー,ブロックチェーン.これらすべて関連技術です.いま急速に増えている再エネは全量買い取りのFITなので、ある意味ではエネルギーの「地産地消」はむしろ減っていく傾向にあります。
もう2年も前にNewsPicksに寄稿した記事ですが、
エネルギー問題とは外交問題
【大場紀章】電力自由化のタイミングで考える“エネルギー安全保障” 2016/4/22
https://newspicks.com/news/1516219
エネルギー問題とは、50%は輸送の問題で、75%は産業の問題、そして95%は外交問題(一次エネルギーの化石燃料比率が95%)です。電気の問題は25%に過ぎません。
現在日本の石油の中東依存度は約83%で、先進国の中では韓国、台湾に並び圧倒的な高さです。これは古くて新しい問題です。
この3ヶ国が突出して高い中東比率になっているのは、冷戦構造の残滓だと私は解釈しています。
中東産油国エリアとペルシャ湾から東アジアに抜ける太平洋までのシーレーンを、バーレーンを拠点とした米国第五艦隊と、ハワイを拠点とする太平洋艦隊の司令下にある第七艦隊がその安全を確保していますが、それは冷戦時代には東アジアの浮沈空母たる日韓台という三ヶ国を飼いならす「首輪」でもあったのだと思います。
意外かも知れませんが、米国はずっと前からペルシャ湾への石油依存度は10%程度しかなく、直近では7.5%(2015年、EIA)です。そんな米国は、湾岸防衛に毎年約8兆円(750億ドル)を費やしています。これは米国がペルシャ湾から購入している石油の総額(約4兆円、350億ドル)の倍以上です。米国が日本などの為にいかに多くのコストを払っているかがわかります。因みに日本の防衛費は戦後最大というものの、約5兆円です。
安倍首相がトランプ大統領に対し、東アジアだけではなくインド洋にも関心を持たせようとしているのはこうした事情があるのだと思います。
21世紀の日本は、この死活的な問題と向き合わなければなりません。
解決策は全てここでは書けませんが、キーワードとしては、
・原発政策の見直し(エネ基にリプレース書き込み等)
・MaaS(モビリティのサービスプラットフォーム化)によるEVの普及と、バッテリービジネスへのドミナンス
・ロシアとの戦略的外交関係の再構築
・再エネ普及の為、送電線整備を公共事業化(国交省財源にする?)
です。エネルギー源別の分散も重要だし、調達先の分散も重要。その状況が分かりやすい記事。
現実論として、資源は偏在しているので、特定国への依存は、日本に限らず大きくなりがち。それでも分散できていれば安定度は上がる(もちろん遠くから輸入するにはコストもかかるが)。
なお、記事だとエネルギー源ごとに単位が違うので、ジュールベースでみると、石油41.0%、石炭25.9%、天然ガス24.3%、そして水力・新エネ・地熱等が8.5%。
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/2-1-1.html