インドネシア大手銀を買収へ=最大7000億円-三菱UFJ
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これはインドネシアに進出している日本企業のみならず、インドネシアの金融界にとっても大きなニュースですね。東南アジアでも日系の製造業やサービス業に比べて、金融業の進出は際立って少なかったといえます。業務も日系企業を相手にしたものばかりで、地場企業に積極的に融資することもそのノウハウも発展してきていないでしょう。三菱UFJは、十年ほど前にインドネシアではBNPという小銀行を買収したことがありますが、7千億円ともなるとその時とは比べものにならない規模です。
インドネシア政府は天然資源関係や金融業に外資が参入することを必ずしも歓迎しません。しかし、1997年の通貨危機によってインドネシアは極めて大きな打撃を受け、金融界も再編を余儀なくされました。近年は中国の進出、ASEANの経済統合という大きな流れの中で、さらに再編が進んでいます。外資系銀行の中でとりわけ大きいのは中国工商銀行、それにマレーシアのメイバンクとCIMB系の銀行でしょう。日系の銀行はこれらに比べると非常に出遅れていますが、今回三菱UFJが大きな動きを見せました。
この買収が可能であったのは、ダナモン銀行がすでにシンガポールの国営投資会社テマセックに買収されていたことによります。ダナモン銀行は、もともとBCAと並ぶインドネシアの代表的な華人系銀行ですが、97年に苦境に追いやられました。政府と密接な関係にある「先住民族(プリブミ)」系の銀行であればまず買収できないでしょう。なお、三菱UFJがタイで子会社化しているアユタヤ銀行も華人系銀行です。
ダナモン銀行は、三菱UFJに買収されても、華人経営者たちから従来通りの役割を期待されるでしょう。つまり、インドネシアの経済を9割支配しているといわれながらもプリブミ系銀行からは十分な融資を受けられない華人企業群のメインバンクであることです。従来の東南アジアに進出した日系銀行による日系企業相手の業務よりもはるかに広範で多くの顧客をもつ、現地に根づいた金融業を展開していかねばならなくなります。アユタヤ銀の次はダナモン銀。MUFGのASEAN戦略は、今後、どう展開していくか要注目です。塩崎さんのコメントも必読。金融業界の動きの背景について、現地事情から理解が深まります。
ASEAN以外でも、M&Aでこうしたパターンはあり得るかもしれません。記事にあるようにインドネシアでは、外資は4割までですが、最終的に73.8%以上取得を目指すとのこと(現地会社を通じる?)。総額7000億円となる見込み。