なぜ、ダ・ヴィンチの絵に「500億円」という値段がついたのか?
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今回の『サルヴァトール・ムンディ』についていえば、固有の事情がいくつか考えられて、まず、この絵がレオナルドの作品の中では例外的に近年になって彼の作品と認定されたものである、ということがあります。せいぜい6年前です。そうでなければ、どこかの国立美術館に収蔵されているはずで、仮にもレオナルドの油彩画がオークションにかけられるということはなかったでしょう。
それから、開館を控えたアブー・ダビのルーブル美術館分館が、目玉となる展示品を欲しがっていた、ということがあります。金がある国、しかし国内で産業を振興するための確実な投資の限られている国、という国があると、高値であっても買い手が出てくる可能性が高いです。UAEはサウディアラビアの主要な同盟国であり、絵を貸し出して機嫌をとるという意味もあるでしょう。
本当の買い手、サウディアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子ですが、彼に限らず、中東やアフリカの諸国、中国などでさえも、権力者たちは国外に資産を保有しておきたいという欲求が非常に強いです。失脚して財産を剥奪される可能性が高くあり、国そのものが破綻する可能性もあるからです。この王太子も、ヨーロッパなどで数億ドルの不動産などをいくつも買いあさっており、先日も3億ドルくらいするフランスのお城を買いました。数百億ドルにのぼる資金が必要ですが、「汚職取締り」と称して監禁しているサウディアラビアの資産家たちから強奪した金であると考えられます。せめてその金をサウディアラビア国内で投資すればよさそうなものですが、自分が失脚した時に備えて不動産や美術品を買い漁ったりすることに専ら費やしています。アート特集後編の本日は、村上隆氏や奈良美智氏を発掘し、国内外に売り出してきた実績を持つトップギャラリストの1人、小山登美夫ギャラリーの小山氏のインタビューをお送りします。
前編では、いわば「セカンダリー」のお立場から、サザビーズの寺瀬氏のインタビューをお送りしました。後編は「プライマリー」のお立場からのご意見です。
新人を発掘、育成、プロモーションしていく立場から、今の「アートブーム」や世界の市場の動きについて、彼の見る先にある景色を、これまたたっぷりとお聞きしてきました。