【求人掲載】なぜ「戦略コン」出身の私たちが「うどんの丸亀」に?

2017/12/27
「ライフスタイル・グローバル企業」への転換を目指し、2025年までに現状の売上の約5倍を創出するというトリドール。その足がかりとして、すでに多数のM&Aを行い、外食を中心に様々な事業展開を行っている。
グローバルで多角的に戦うための人材集めも続々と行われ、新規事業をしかける経営企画室にはプロフェッショナルファーム出身の若手社員が集う。優秀な彼らがなぜ丸亀製麺を主軸とするトリドールを選んだのか、そこにトリドールの成長のカギがあるはずだ。(全4回)

「コンサルから外食」意外な転職の理由

──戦略コンサルは、ある意味憧れの職種です。みなさんは、なぜそこからトリドールへ移ったのでしょう。
五味:新卒で入社したライオンでは店舗営業を担当していました。手触り感のある仕事は楽しかったのですが、営業という立場ではできることが限られます。
より高い視点を得たくて、今度はベインアンドカンパニーに。すると、手触り感が一気になくなってしまいました。
いわゆる戦略プロジェクトでは、「提案まで」のケースも多く、その後はクライアントの実行に任せることになります。すると、たとえ失敗してもどこに原因があるかがわからない。
それで、トリドールの「自分の提案にもとづいて、現場と一緒にPDCAを回せる」という「いいとこどり」の働き方に魅力を感じたんです。だから、外食かどうかは重要ではありませんでしたね。
原田:私は、業界を決めずに「企業の規模感」「成長企業である」「キャッシュを生む力がある」そして「グローバルに展開している」という4つの観点で転職先を探して、たどりついたのがトリドールでした。
前職では5000億から数兆という規模の戦略コンサルとベンチャー投資の両極端を経験しましたが、規模の大きい企業は、何をやるにしても細かい作業が必要で、動きが鈍い。
五味:わかります。何をするにも、ハンコがたくさん必要だったり。
原田:逆に、小規模ならスピード感があるかと言われれば、そうでもない。小規模のほうがたしかに意思決定は早いのですが、リソースが限られているから実行に移すのに時間がかかる。
だから数百〜2000億規模の成長企業をターゲットにしました。成長している会社は雰囲気がいいし、ダイナミズムがあります。そして、トリドールには丸亀製麺という柱がある。キャッシュ創出力の高い本業は、新しいチャレンジのための屋台骨になります。
海外展開しているか、というのは単に私の好みですが、海外には国内以上に知らないこと、わからないことがたくさんあって、仕事が刺激的になります。
志水:外食志望で移ってきたのは、この3人のなかで僕だけですね。僕は昔から、独立して八百屋がやりたかったんです。「バルーン」は内食市場を狙った食材通販「BallooMe(バルーミー)」の運営会社ですから、まさに僕のやりたかったこと。
これまでは、八百屋をやるために足りないスキルが体得できるような仕事を選んできました。次は調達能力を身につけたいと考えて外食チェーンを探していたとき、偶然丸亀製麺で食事をしたんですよ。
すると、オペレーションがすごく大変そうだったんです。うどんも天ぷらも手間をかけて、一生懸命作っている。品質へのこだわりと、食材に対する愛を感じました。それで、「このチェーンはいい!」と。

コンサルでできないこと、トリドールでできること

──異業種からトリドールへの転職で、驚いたこと、戸惑ったことはありますか。
原田:事業会社ははじめてですが、トリドールでは自分のスケジュールは自分で決める。誰に会いに行くかも自分で決めるし、海外出張も自分の意思でどんどん設定できる。今までと変わらない働き方ができています。
正直、ここまでの自由度は想像していなかったので、いい意味で驚きました。
五味:私は意思決定の早さに驚きました。「本当に1000億規模の企業なのか」と思うぐらい、物事がどんどん決まって、即座に動きはじめる。
トリドールは、成功確率がたとえ80%でも、走りながらPDCAを回していきます。それが早さの秘訣。前職では、意思決定のあとに現場をせっつく苦労があったのですが、ここでは現場のスピードに負けないようにするのが大変です。
原田:とりあえずやってみようという姿勢は、仕事の質にも影響があります。
戦略コンサルは立てた仮説を証明しきるのに相当な労力をかけるし、資料作りにかける時間もかなり長い。きれいな資料を作るのは、短い時間で確実に合意形成をするためにも重要なことですが、正直、その作業は面白くない。
コンサル若手時代は、本当の意味で頭を使うのは全体の時間の3分の1だけだった。でも、トリドールなら1年目から「トリドールの課題解決」という知的生産に携われます。作業がほとんどなくて、大部分が思考。
コンサル時代と比べれば働いてる時間ははるかに短いのに、めちゃくちゃ疲れます(笑)。
五味:でも、仕事の一番楽しいところをいきなり経験できるのはいいですよね。
裁量を与えられているからこそ、ミッションの与えられ方もコンサル時代とは全然違います。原田さんと私は一緒に人材開発や採用に携わっていますが、「勝手に優秀な人材が集まって、拡大再生産されるような企業にしてくれ。あとは任せた」という感じで。
原田:私は海外事業も担当していますが、「北米での戦略を考えて」と、すごく大きなくくりで任されています。
一同:(笑)
志水:僕は「差別化されたサービスを作って、売上を立ててくれ」というミッションです。
粟田社長は、「この人に任せる」という判断のできる人だから、管理職の人間も「部下には細部まで自分が決めた方針で動いてほしい」という気質じゃないんでしょうね。
原田:でも、何かあったら手助けはどんどんしてくれる。
五味:「外部のこんな人を頼ったらいいよ」とか、「これなら、社内の〇〇さんに聞いてみて」とか。
原田:コンサルや会計などいろんな専門性を持つ人が集まっているから、必要な局面で適切なアドバイスをもらうこともできるし、プロジェクト単位で動いていると、お互いの専門性を一気に学べる。これもトリドールならではでしょうね。

このプロジェクトはうどん何杯分なのか

──トリドールの「働きやすさ」や社風のようなものは、どのように作り上げられたのでしょうか。
志水:一言では言えませんが、社長の粟田のキャラクターによるところは大きいと思います。
「バルーン」はまだ規模が小さいのですが、自分がもともとやりたかった分野で事業を立ち上げ、組織のトップとして意思決定をするのは結構「しびれる」経験です。
実は、トリドールに入ってから「お金は大事に使わなきゃ」っていう気持ちが芽生えたんですよ。
原田:私もそうです。はじめて100万使うのが怖いと思った。私は、去年トリドールが子会社化した株式会社SONOKOの経営にも参画しているんですが、事業部の立場になったとき、これまでにない責任の重さを感じました。
志水:それって、現場で一生懸命働いてる人たちを見て、リスペクトしているからなんですよね。その姿勢は粟田から自然に学びました。
だから、「自分がやろうとしていることは、うどん何杯分の利益を使うんだろう」と考える。
経営者として意思決定するということは、その恐怖とどう付き合うか、ということでもあるんです。粟田は、任期の決まったサラリーマン社長ではないから、意思決定を避けずに常に恐怖と戦っているんだと思います。
五味:といっても、一般的に想像されるような「創業社長」とは違いますよね。方針はトップダウンで下りてくるけど、ボトムアップで出てきた案をちゃんと生かしているから、独裁的ではない。
原田:他人に対するリスペクトを感じますよね。粟田と一緒にタクシーに乗ると、運転手さんに対しても「右に曲がってもらえますか」みたいに丁寧なんです。当たり前だと思う人もいるだろうけど、そういう言い方のできない経営者は結構多い。
粟田は腰が低くて、しかもそれが自然体。人の話を基本的に全部聞いて、絶妙な生かし方ができる。食にしても、その国の食をリスペクトした上で、どんな味が合うのかを考える。決して押し付けないんです。
五味:私は採用面接で粟田から「トリドールに失敗しにおいで」と言われました。それがトリドールに来た決め手です。どんどんチャレンジするために失敗を許容する文化を、粟田自身が体現しているんです。

一緒に「失敗できる」仲間になろう

──最後に、トリドールの経営企画室を目指す方にメッセージを。
原田:私は自分のキャリアに関して「今は苦労する時期」という発想がないんです。楽しくて次につながることしかしたくない。今、私がトリドールにいること自体が、メッセージになると思います。
また、食への関心が高まるなかで、食に関するビジネスをしたい人も増えていますが、そういう人はまずトリドールに来てほしい。最初から食ビジネスの意思決定に携われるポジションは、どの企業に行ってもなかなかないですよ。
経験上、あまりに急激な成長をした企業は社内がまったく整備されていないことが結構あります。トリドールは丸亀製麺を10年以上かけて成長させているので、そういう意味でも安心です(笑)。
志水:僕はグーグルにも所属していましたが、トリドールには似た文化を感じます。自分のやりたいことがある人、こうあるべきというビジョンがある人は、いくらでも活躍する機会が与えられる。逆に、主体性がないと何も進みません。
五味:消費者に近いことをやりたい人にぜひ来てほしいですね。企業規模のわりに派閥もなく、組織全体がフラットなので、面倒なことに煩わされず、日々新しいチャンレンジに打ち込むことができます。
一緒に失敗して、一緒に成長しましょう。
(編集:大高志帆 構成:唐仁原俊博 撮影:露木聡子)