丸井がクレジットカードの即時発行にこだわる歴史的な理由
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注目のコメント
(以下、チワワ時代の昨年2月のコメントの再掲)
丸井は日本百貨店協会に加盟していません。百貨店ではないのです。
その出自は「月賦百貨店」と呼ばれた庶民向け割賦販売店。同じく月賦百貨店として戦後に成長した企業の多くが現在はクレジットカード会社になってます。
丸井は60年代にクレジットカード発行を始めて、80年代にカードキャッシングも開始。これが収益の柱に育ちます。
さらに80年代の丸井は、バブル景気と同時に起こったDCブランドブーム(JUNやBIGI等)の立役者として、「ヤングファッション」と「赤いカード(によるキャッシング収入)」の二刀流で全盛期を迎えます。
丸井のキャッシング事業(個人向け無担保ローン)の特徴は2つあって、まず第1に、利用者の大半が20代以下なのに、貸倒率がキャッシング専業(アコム等)よりも格段に低いこと。いざとなれば親が払うから。
第2に、店員がその場でカード発行するので、会員獲得費用が抑えられること。
圧倒的な収益力を誇った金融事業は長らく小売事業を超える利益を稼ぎ続けました。
丸井の本来のコアコンピタンスは金融なんです。
しかしその後は、貸金業のグレーゾーン金利の廃止と過払い利息の返還による負担で、丸井のキャッシング事業は壊滅的な打撃を受けます。
また、DCブランドの成功体験から抜けられず、ファッション偏重の売場展開が完全に行き詰まりました。
そこから立ち直るために進めたのが、⑴金融事業の柱をキャッシングから「リボ払い」へ転換することと、⑵脱アパレル(雑貨の強化)と一部店舗のSC化です。
金融事業の中身がリボ払い販売に変わっても、「低い与信コスト」と「店舗での会員獲得」という競争優位を残しているがゆえに復活を遂げました。こういった企業の歴史と、どのようにして現在の業態に至ったかが伺える記事は面白い!
金融という観点では、丸井の有価証券報告書を見ると「利息返還損失引当金」という科目が負債の部にある。いわゆるグレーゾーン金利に伴う過払い金請求に対応するための勘定。2009年3月期および2011年3月期には、特損でそれぞれ174億円・250億円を当該科目で計上している。ここらへんからも平山さんがコメントされている「金融屋さんがお店をやっているイメージ」というのが伺える。業界団体に加盟していないのは知らなかった…私も初めて肩パッドの入ったDCブランドをスーツを買うため、中野のマルイに行きました。懐かしい。クレジットコストの予測ができればリスク量の範囲で信用供与はできるということだと思います。もちろんそのコストはエコシステムの誰かが負担することになり、一部は売価に織り込まれていると見るべきでしょう。