パティシエ・ピッカー吉田未来さん「NPで広がった私の世界」

2017/11/11
NewsPicksで活躍中のピッカーさんを紹介する本連載、28人目にご紹介するのはMiki Y.さんこと吉田未来さんです。
吉田さんは都内にある洋菓子店でスイーツづくりに勤しむパティシエさん。NewsPicksでも外食産業や小売・販売関連のニュースについて、現場感のあるコメントを続けられています。
吉田さんがNewsPicksを使いはじめたことで感じた「ニュースの見方」の変化とは? また、コメントをするときに気をつけていることなど、吉田さんのこだわりを伺いました。
12月21日(木)に「ピッカー感謝祭」と題した交流イベントを開催予定で、抽選で100名様をご招待します。詳細は本記事の最後をご覧ください。

きっかけは、乙武洋匡さん

──NewsPicksを使い始めたきっかけから教えてください。
乙武洋匡さんのツイッターをフォローしていて、「話題のニュースアプリを使い始めました」というツイートを見かけて興味を持ちました。たしか2014年5月頃だったと思います。
最初はただ、皆さんがピックした記事やコメントを読む程度でしたが、次第にコメントもするようになりました。
というのも、当時のNewsPicksはユーザー数も今ほど多くはなくて、コメントもまだ少なかったんですよね。自分のコメントに30Likeぐらい付くと、あっという間にランキングの上位になれたほどです(笑)。
──使ってみて、どんな印象を抱かれました?
いろんな考えの人のコメントが読めるところが、私にとっては衝撃でした。
ひとつのニュースに対して、ポジティブな見方もあれば、ネガティブな見方もある。その両方が存在することを、コメント欄をつうじて知ることができる。その点が勉強になると思ったのを、いまでもよく覚えています。
仕事柄、外食や小売関連のニュースを中心に読みます。日頃の業務だけはなかなか見通すことが難しい、お客様のニーズの変化に気づけたらと情報収集を兼ねてNewsPicksを活用しています。
吉田 未来(よしだ・みき)
レストランのパティシエとして、デザートメニューの開発やベルギー勤務を経て、現在は洋菓子店のチームリーダーを務める。NewsPicksは2014年5月から使いはじめ、流通小売や外食産業に関するニュースを中心に「Miki Y.」の名でピック・コメントを続けている。
──吉田さんがコメントをするときに、気をつけていることはありますか?
意識しているのは、自分自身が体験したことを書くことです。
職場の近くにあるコンビニに行っては新商品を買い、飲食店で新メニューが出ると聞けば、行って試すように心がけています。体験を踏まえたコメントであれば、私のような一人の消費者でも、信用されるコメントが書けるのではないかと。
私も自分の手がけたスイーツが、お客様においしく食べていただけたのか気になります。ビジネスの規模は違っても、作り手であればそう感じるものではないでしょうか。
「もしもこの商品の作り手が、NewsPicksのコメント欄を読んでいたら、どんな声が参考になるだろうか?」そう想像しながら、消費者の率直な意見を書くように意識しています。
もうひとつは、「みんなと違う意見でも書く」ということです。
みんなが「YES」と言っているところでも、自分のなかで「NO」なら、流れに乗らず、恐れずに「NO」と書きます。
もしかしたらこれは、天邪鬼なだけかもしれませんが、みんなが一斉に同じ方向を向いたら、私は違う方へ向かいたいタイプです。
──3年以上NewsPicksを利用されるなかで、ご指摘のとおりユーザー数も増えて、いろんな変化もありましたが、どう感じていますか?
ほどよい距離で使わせてもらっています。
NewsPicksにのめり込んで、本気の長文コメントを連発されている方って、いつの間にか使わなくなってしまう人も多い印象です。もしかしたら、気合を入れて書いていると、燃え尽きやすいのかもしれませんね。
私自身は、お出しできるものがそもそもそんなにありません。長く使っているだけ愛着もありますし、コメント欄から垣間見える“NewsPicksを作っている人たち”の人柄にも親しみ深くて使い続けています。

毎日同じものを作れるのが「プロ」

──吉田さんのお仕事の話を聞かせてください。
都内や川崎、横浜などにある店舗からの注文を受けて、ケーキやクッキーを製造する洋菓子店でパティシエをやっています。お菓子を作ることが好きなので、今の仕事は好きですね。
今の職場には2年半ほど勤めていますが、私自身は高校卒業後にすぐレストランに就職して以来、ずっとお菓子づくりばかりやっています。
──1日のお仕事の流れは?
現在勤めているところでは、ケーキを中心に、日々10種類ほどのお菓子を作っています。毎日作るもの以外にも、季節の特別メニューや、ウェディングケーキなどの受注販売のものまで、日によって作るものは違います。
毎朝、その日に出荷するものの仕上げから入り、午前中のうちに完成させます。そのあとは休憩しながらほかのメンバーと午後の作業の流れを確認し、午後は一気に仕込みをやります。そしてまた、翌朝仕上げをする。この繰り返しです。
現在の職場では、8人ほど担当者がいて、シフトを組んで回しています。
私の職場でも、NewsPicksでも話題にのぼる「働き方改革」が進められていて、業務量を分散させるべく増員しました。残業はだいぶ減りましたね。
吉田さんが作るケーキ。「高校を卒業してすぐ飲食店に就職し、デザートづくりやお持ち帰り用のケーキを作る職場で働きました。ウェディングケーキを担当することもあります(吉田さん)」
──パティシエというと、NewsPicksでは辻口博啓さんの生い立ちに迫る「イノベーターズ・ライフ」を連載しました。そのなかで、辻口さんの「パティシエとして一番得意にしているのは“計量”という数字の管理」という言葉がありました。
吉田さんにとっては、パティシエとはどんなお仕事ですか?
辻口さんの意見に私も賛成で、材料を正確に計るのは基礎中の基礎です。そして、基本に忠実であることが、パティシエの重要な資質です。
洋菓子づくりは繊細で、ほんの少し天候が変わるだけで、スポンジケーキのふくらみ方も、クリームの柔らかさも違ってきます。たとえどんな状況下にあっても、いつでも同じクオリティのものを作ることができるーー。私にとって、それがプロフェショナルです。
今の職場では、毎日のように作る商品もありますが、同じことを繰り返しているようでいて「あれ、今日は様子が違うぞ」という日があります。試行錯誤をしながら小さな変化をなくしていく、乗り越えていくところにやりがいを感じます。
そして、練習すればするほど仕上がりは美しくなる。結果が目に見えるのも、パティシエの仕事のいいところです。
──では、パティシエを辞めたいと思ったことは?
飽きてきちゃったな…と思うこともあります。でも、まるっきり辞めてしまいたいとは思いません。お菓子づくりに加えて、できることがあれば身に着けて、積み上げていけばいいのではないかと考えています。
いくつかのスキルをかけ合わせて、オンリーワンなキャリアを作ればいい。そう考えるようになったのも、NewsPicksのムーギー・キムさんの記事のなかでそんな記述があって「なるほど」と思ったからですね(笑)。

NewsPicksで世界を多角的に知る

──NewsPicksでは、ファーストピック(外部から記事を見つけてピックすること)も積極的にされていますね。
毎朝の通勤時、NHKと日経新聞の電子版をチェックしています。そこで気になった記事をピック・コメントしておくと、昼頃にはたくさんの方からの意見が集まっていることがあります。
通勤時をはじめ、仕事の合間や休憩時間を中心に、毎朝5時半からチェックしていますが、早朝すぎてスマートニュースなどはまだ更新されていないんですよね。
NewsPicksでピックをするのは、ほかのピッカーの皆さんに「これ、どう思います?」とお伺いを立てるような意味があります。
ネット検索を重ねながら必要な情報を探すより、NewsPicks内で検索したり、ほかの方の意見が集まるのを待つほうが、発見がある気がしています。
──吉田さんはなぜ、ほかの人の考えに興味をお持ちなのでしょうか。
そう言われると、なぜなんでしょうね…?
(しばし考えて)私は自分の意見が絶対だとは思えないんです。ものごとを正面から捉えるか、斜めから見るか、少し角度を変えれば見え方が変わってくるものではないでしょうか。
ある一面を知っているだけでは、いい判断ができない。だからこそ、さまざまな角度から書かれた意見に触れ、自分の無意識の先入観や思い込みをあぶり出したい。それを繰り返せば、よりフラットに、最適な判断ができるようになるのかなと。
そう考えてみると、いろんな意見に触れる意義を実感するようになったのも、NewsPicksで出会う、多様なコメントを読みはじめてからかもしれません。

身近な幸せをつくっていきたい

──最後に、吉田さんがこれから実現したいことを聞かせてください。たとえば、プロフィール欄に「障害者雇用に興味がある」と書かれていましたね。
私の彼は、ある障害を抱えながら仕事を続けています。彼とのお付き合いをつうじて、たくさんの気づきを得て、他のピッカーさんたちにも障害者雇用の現実を知ってほしいと思うようになりました。
たとえば、障害者の採用枠は非常に限られているので、自宅近くで職探ししても見つからなかったりします。あまりにも長距離通勤になって、苦労することもあります。
これまで知らなかった世界、気づかなかった課題について、理解の深まる記事があったら、皆さんにも読んでもらって、身近に感じでほしいなと願っています。
──パティシエとして、手がけてみたいお菓子はありますか。
私にはお菓子づくりの経験しかありませんが、こんなちょっとした専門性でも誰かのお役に立てることはないだろうかと考えるようになりました。
たとえば、地域の子どもたちが団らんできる場を作る、子ども食堂の取り組みが各地で話題になっていますが、そこでデザートを提供できたら、喜んでもらえるかもしれない。
パティシエになりたての頃は、「こんな作品が作ってみたい!」とか、自己実現や承認欲求が先に立つこともありました。でも、日々の仕事のなかで、そうした思いはすでに満たされつつあるのかもしれません。
これからは「私の作るもので、誰を笑顔にできるか?」とそう自分に問いかけながら、パティシエ修業に励んでいきたいです。

吉田さんのおすすめピッカー

「Mr. チワワ」の名で親しまれていた流通アナリストさん。流通網を俯瞰して、客観的なデータを交えながらコメントされています。異なる視点から書かれたコメントが読める、NewsPicksの面白さを教えてくれた方です。
大学生とは思えぬほどのリサーチ力、分析力を感じさせるピッカーさん。非公式オフ会で何度かお会いし、コメントから受ける印象どおりの真面目な方でした。丁寧に下調べされた裏付けのあるコメント、私も見習いたいです。
最近、販売士の資格取得をきっかけにマーケティングに興味を持ち、先生のデジタルマーケティングに関する著書を買って読みました。ラーメン二郎への愛があふれるコメントも素敵ですが、本もおすすめです(笑)。
語尾が「にゃん」とかわいいけれど、言っていることは核心をズバリついている精神科医さん。悟りを開いたような独特なコメントが大好きです。
【イベント告知】
ピッカーの皆さまの日頃のご利用に感謝の気持ちをお伝えしたく、12月21日(木)に新宿で「ピッカー感謝祭」を開催します。抽選で100名様をご招待する交流イベント、詳細はこちらをご覧ください。皆さまのご応募をお待ちしております!