ユニコーン「評価額」のカラクリ
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原文を読んでいませんが、この教授連は一体どうやってスタートアップのフェアバリューを算出したのでしょうか。そんなことが仮にできるのであれば、今すぐ大学教授なんか辞めてVCを始めれば大成功すると思うのですが……。
それはそれとして、優先株式によって普通株式での投資家やSOを持つ従業員が割りを食っているというケースも確かにあると思います(調達側のリテラシー不足の問題ではあるのですが)。特に研究者出身の起業家の場合、リテラシー不足によって完全に食い物にされているケースが散見されます。「起業を支援する」と言いつつ、投資家側が単に起業家の知識不足の隙を突いているだけじゃないかと見えてしまうケースも、ないではありません。
スタートアップの資金調達に関する報道では一般的に、直近に発行された優先株の発行価格に発行済み株式数を掛けて評価額を算出しますが、この考え方は本来は正確ではありません。優先株はメザニンであり、普通株よりも好条件であるからこそ価格がより高くなる。だからこそ「優先」。
本当に正確を期するのであれば、
普通株の想定価格×発行済み普通株式総数
+
A種優先株の想定価格×発行済みA種優先株式総数
+
B種優先株の想定価格×発行済みB種優先株式総数
と計算しなければならないはずです。
とはいえ、そんなもの、部外者には知りようがありませんし、実務的には直近の優先株式のバリューをベースに計算するわけですけどね。
一方で、起業家の側はこの違いを峻別しておかないと、なんとなく普通株の相場感で優先株を発行することになりかねません。投資家から優先株式の引き受けを持ちかけられたら、「普通株であればいくらの価格という目線で評価しているんですか?」と問い返すくらいの理論武装をスタートアップ側もすべきだと思います。正しくもあり、一部不賛同です。
公正価格(フェアバリュー)などというものはそもそも市場流通しない未公開株式には存在しない、これは今に始まったことでは無い普遍真理、学者にもかかわらずこの点不見識で不賛同。たとえ他の全員には法外に見える値段でも儲かると思って買いたい人がつける値段、相対取引で決まるその価格がフェアなのです。朝倉さんに同意。
その上で、この数年の優先株のタームは伝統的VCよりも主には百戦錬磨のPEがどんどん複雑にして自らに有利なカラクリを散りばめるようになりました。法外に高いバリューとそれら投資家に有利なタームはトレードオフ。
しかしそれももはやバレーではそれなりに知られた議論。昨年テッククランチが選ぶVCオブザイヤーは「起業家はDirty term(酷い投資条件)をハイバリューの犠牲にするな」と言ったビルガーリーでした。ちなみちガーリーは世界一ハイバリューのUber大株主で創業者カラニックを追放した事で有名になるという皮肉なオチではありますが。
ともかく、前半のフェアバリューの議論を除けば、この手の議論は若い起業家や経験浅い投資家には有用でしょうから広まるに越した事は無いでしょう。「平均的なユニコーンは、資金調達でついた評価額に対し、実際は半分の価値しかないという」と記事は主張します。
ベンチャー企業が増える中で、ユニコーンの数も期待は高まるばかり。そんな状況に、一石を投じるスタンフォードの研究を取り上げています。