ファッション界が政治の話をするようになった理由

2017/10/5
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
5日は、ファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地 彩弓(ぐんじ・さゆみ)さんが出演。軍地さんは、女性誌「ViVi」で109ブーム、「GLAMOROUS」ではアラサーブームを生み出した、ファッションクリエイディブデザイナーです。
現在は「Numero TOKYO」のエディトリアルディレクターを務めると同時に、自身でも会社「gumi-gumi」(グミグミ)を設立し、多岐にわたり活躍されています
今日は、「ファッション界は、政治の話をしたらダメですか」(HuffPost Japan)を題材に、突如、ファッション界で巻き起こった政治的発言の背景や動きについて解説いただきました。
POINT 1:
トランプ大統領の女性蔑視発言がファッション界に波及。クリスチャン・ディオールは、2017年春夏のパリコレクションでそれに反発するスローガンが書かれたTシャツを発表した

年初アメリカでは、トランプ大統領の女性蔑視発言が大きく報じられた。これを受けて女性を中心に大規模な「ウィメンズマーチ」が敢行され、反対の声を上げ連携した、という流れがあった。
クリスチャン・ディオールがTシャツで訴えた言葉は「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS(男も女もみんなフェミニストでなきゃ)」。ナイジェリアの女性の作家、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ氏出した本が基になった言葉で、現在、Tシャツはウエイティングリストができるほど人気を博している。
ミッソーニもコレクションで、ウィメンズマーチに登場したピンク色の「プッシーハット」を観客席のゲストに配布。ショーの最後にクリエイティブ・ディレクターが「不確定な時代に、強く安全に、人権を尊重する強いつながりが私たちにはある」などと連帯を訴えるシーンが見られた。
「なぜファッション界はこんなに反応したのですか?」(サッシャさん)
「ファッション界ではメッセージ性のある言葉をランウエイに出すのは珍しいんです。ファッションブランドは世界中で仕事をしているし、反対の人・賛成の人もいるという状況で、極端にどちらかの肩を持つというのはあまりなかった。ただ、女性が自由に生きることと、ファッションが自由であることは同値であると私は考えています。まだ男女平等であるとは言えない社会で、女性が声を上げることはすごく必要だと思っています」(軍地さん)
POINT 2:
インスタグラムなど、SNSを通じての発信と連帯も人気を後押し

「(1枚)8万円ほどするんですが、うちの編集部の20代の女の子はジャケットを買うのを我慢して買っていました。年配から若い世代まで幅広い年代の人に受けています」(軍地さん)
「なぜでしょうか?」(サッシャさん)
「これをデザインしたマリア・グラツィア・キウリは、ディオールの歴史上初の女性デザイナーということもあり、それを祝福したい・応援したいという部分もあるでしょう。また、インスタグラムなどSNSを通じてメッセージを伝えやすい環境なのも一因だと思います。インスタ映えしやすく、ハッシュタグをつけて『同じような仲間と連携したい』というのはあると思います」(軍地さん)
POINT 3:
ファッションは時代を映す鏡
「今回のパリコレクションでは、ダイバーシティ(多様性)という考え方が全体的に目立っていました。ニューヨークコレクションでは『プラスサイズモデル』と呼ばれる、ふくよかなモデルが多用されていたり、イスラム圏出身のモデルが使われていたりしていました。
グッチを要するハイブランドで知られる『ケリング』は、痩せ過ぎのモデルを使わないというメッセージを出したため、実際に痩せ過ぎが理由でショーに出られなかったモデルもいました。世界で起きていることに対してファッションの世界も敏感に反応していると感じますし、ファションは時代と共にあるのだと思います」(軍地さん)
「戦争の時代には洋服から色がなくなり服装も限定されるけれど、戦争が終わると自由になりますしね。ファッションの自由、好きなものを着られるというのは平和の象徴ですね」(サッシャさん)
今回のニュースをはじめとした軍地さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
10日はPwCデジタルサービス日本統括 パートナーの松永 エリック・匡史さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください