「ユーロ高」長期化シナリオの死角=唐鎌大輔氏
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注目のコメント
ロイターに寄稿させて頂きました。
ポイントは以下の通りです。
政策理事会前の論点整理にご利用下さいませ。
●ユーロ高の契機はECBの正常化プロセスではなく、仏大統領選だったはず
●マクロンの支持率は就任100日で半減の様相。今や、ダブルMないしメルクロンといった独仏安定に賭けるトレードは難しい状況
●確かにリザーブマネー(中銀&SWF)はユーロをアンダーウェイトし過ぎている疑いがあり、現状はその正常化という見方は可能
●とはいえ、預金ファシリティ金利のプラス圏復帰は最速で19年以降である。それまでに周縁国全てが堅調を維持できるという蓋然性は大きくない
●また、仮にプラス圏に復帰したとしても、米欧金利差には如何ともしがたい格差がある。PPPから見ても達成感のある1.20は反転の目処として悪くないだろう
6月末以降の為替市場の主役はユーロであり、ユーロ買いこそが最も人気のあるトレードでした。しかし、ここもとの状況を客観視するに、死角も少なくないと考える所存です。本稿で「英国のEU離脱が決まった今、フランスができることはドイツの傍らに立つことで「域内の大国っぽく」振る舞い、これにより何とかEUの勢力均衡を図ろうとすることぐらいだろう」というのは本当にその通りで、EUは結局どこまでいってもドイツ一強というのが現実ということでしょう。
マクロン大統領が足元で支持率を急低下させていることについては、個人的に図らずも大統領選直後の以下の記事で「たとえマクロン氏勝利と順当にいったところで、目先の政治リスクは後退するでしょうが、フランス経済が目下順風満帆であるわけではないので、采配次第で早々に失望されるおそれも十分あり得る」とコメントした通りになってしまった形ですね。
「仏大統領選、マクロン氏が60%得票しルペン氏に勝利へ=最新調査」
https://newspicks.com/news/2221377?ref=user_329856
EU、とくにユーロ圏については経済情勢が大きく異なる加盟国がECBによる同一の金融政策、これとは別に加盟各国によるバラバラの財政政策という経済政策がチグハグとならざるを得ない構造的な欠陥を抱えたままであることに変わりないわけですから、たとえ微かであっても逆風が吹けば相場の風向きは容易に潮目を迎えてしまうおそれがあることは念頭に置いて注視していく必要があるかと思います。