【日本人留学生】「居心地の良さ」からの脱却。模索と新たな挑戦

2017/7/26
留学生×NewsPicksによる現地報告の第3回。Yale-NUSカレッジには日本からの若者も学んでいる。なぜ、この大学の門をたたいたのか。リベラルアーツ教育の名門イェールとアジア最高学府のシンガポール国立大学(NUS)というハイブリッドなキャンパスで1年間を過ごし、来月に2年生への進学を控えた学生たちの本音をお届けし、影響を受けた書籍を紹介する。(第1回第2回

約束された名門を捨て、海外に飛び出す

小中高と日本の学校に通っていた石田耕大が海外の大学への進学を決意したのは中学2年の終わりだった。
いつものように授業、遊び、部活のルーティン。帰宅してテレビをつけた。普段なら見ることのないNHKの番組で、東大、慶應、そしてハーバードの学生が討論をしている様子に引き込まれた。
ベンというハーバード大生の雄弁さ、彼なりの確固たる哲学を持つ姿勢と情熱に鳥肌がたった。これだ、僕が求めていたものはーーー。
だが、同時に悔しさもこみ上げてきた。慶應中学に在籍していた石田にとって、誇りと憧れの対象だった慶大生が、ハーバード生に論破されていた。自分もいくら頑張ってもハーバードには勝てないのか。
いてもたってもいられなくなった石田は、海外の一流大学に行くしかないと決意した。この突拍子もない考えを、家族や友人たちは、夢見がちな中学生のざれ言ぐらいにしか受け止めなかった。