[東京 13日 ロイター] - 産業革新機構や三菱電機<6503.T>など7社は、自動運転向け3次元地図データ会社「ダイナミックマップ基盤企画」に出資すると発表した。政府は2025年をめどに完全自動運転の実現を目指しており、革新機構などは自動運転に不可欠な地図データの整備などを資金と経営の両面から支援する。

会見したダイナミックマップ基盤企画の中島務社長は「高精度3次元地図データの利活用は日本の競争力の強化につながると確信している」と抱負を語った。

ダイナミックマップ基盤企画が実施する総額37億円の第三者割当増を7社が引き受ける。引き受け後の出資比率は産業革新機構が33.5%、三菱電機が14%、以下、ゼンリン<9474.T>とパスコ<9232.T>が各々12%、アイサンテクノロジー<4667.T>が10%、インクリメント・ピーがとトヨタマップマスターが各々8%。

出資に伴い、ダイナミックマップ基盤企画は企画会社から事業会社に事業内容を改め、社名もダイナミックマップ基盤に変更する。

今後は2018年度までに国内高速道・自動車専用道の全線の3次元地図データを整備するとともに、海外地図メーカーや自動車メーカー、サプライヤーとの地図標準化に向けた協議も開始する。第1弾としてドイツのデジタル地図・位置情報サービス「ヒア(HERE)」と協調することで合意した。

当初は準備期間を2年間としていたが、市場環境の変化を受け、事業化の前倒しを決めた。

中島社長は前倒しについて「2020年に実用化される自動走行システムをターゲットとするためには、2年前の2018年度までに地図を用意する必要がある」と指摘。採算性については「しばらく赤字が続くが、運転支援システムへの利用も期待しており、2020年代前半には黒字転換するのではないか」との見通しを示した。

路面や車線などの静的情報に渋滞や事故などの動的情報を組み込んだダイナミックマップは自動運転に不可欠な要素で、ダイナミックマップ基盤企画は3次元地図データの整備などを目的に2016年6月に国内企業により共同設立された。

いすゞ自動車<7202.T>、スズキ<7269.T>、SUBARU<7270.T>、トヨタ自動車<7203.T>、日産自動車<7201.T>、日野自動車<7205.T>、ホンダ<7267.T>、マツダ<7261.T>、三菱自動車工業<7211.T>も出資しており、今回ダイハツ工業も参加する。出資比率は各々0.25%。

*内容を追加しました。

(志田義寧)