シンガポール移住で感じた英語教育の重要性と日本の課題

2017/6/6
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
6日は、S&S investments 代表取締役の岡村聡さんが出演。「日本の規制・教育がシンガポール移住の理由-ガンホー創業者の孫氏」(Bloomberg)を題材に、日本からシンガポールへの移住の現状について解説しました。

日本語訛りでも気楽に話せる

サッシャ 今日は「日本の規制・教育がシンガポール移住の理由-ガンホー創業者の孫氏」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の岡村聡さんです。
岡村さんは、東京大学大学院を卒業後、マッキンゼー&カンパニーなどを経て、投資コンサルティング会社S&S investmentsを設立。
さらに2013年、シンガポールに不動産の紹介・現地でのビジネスをサポートする会社を立ち上げ、日本との商習慣の違い、住み心地を知り尽くした岡村さん。その移住先としてのシンガポールの魅力に迫ります。よろしくお願いします。
岡村 よろしくお願いします。
サッシャ この孫泰蔵さんは、孫正義さんの弟さんで、僕も存じ上げているんですが、シンガポールに移住されたと。僕もびっくりしたんですが、これをピックされた理由はなんですか?
岡村 さっきご紹介もしていただいたんですが、僕自身が家族で4年前にシンガポールに移住していたので、日本人の有名な方が来るというニュースは非常にびっくりしたんです。4年間住んで、まだ住み続けているのでうれしかったですね。
サッシャ 僕も去年の12月にシンガポールに旅行で行きましたが「なるほどな、移住する方の気持ちがわかるな」と思いましたね。
実際に住んでみるとそんなことないかもしれませんが、旅行者として行くと、アジアの国では珍しく、いい加減なところが少ないというか確実性があったんです。
寺岡 時間を守るとか、サービスとか?
サッシャ なんて言ったらいいのか、日本では安心感があるでしょう? それをシンガポールでも感じたんですよ。
岡村 それは正しいですね。僕は日本とシンガポールをよく仕事で行き来しているんですけれど、妻と子供をあちらに置いているので、安心できる国じゃないと不安です。そういう意味では4年住んで、安心な国であることは間違いないですね。
サッシャ 日本人で実際に移住している人は増えているんですか?
岡村 日本人の滞在者は、駐在者の方を中心に4万人くらいいます。本当に移住している方は数千人と一部ではありますが、じわじわと増えてはいます。
サッシャ それなりに基盤がないとなかなか難しいですよね。
岡村 完全な移住となるとハードルが高いと思うんですけれど、ただ、サッシャさんみたいに「旅行で来て気に入った」とか「なんとなく若いうちから気になっていて、一か月くらい来てみてそのまま」みたいな人も結構いますね。
サッシャ もう「仕事辞めてこっちで仕事しようかな」みたいな?
岡村 そうです。シンガポールは、世界中の企業がアジアの本社を置いているので、就職の機会はいっぱいあります。
英語が堪能だったり、ある程度のスキルがあったりすれば、転職を機にシンガポールに来る方も結構おられると思いますね。
寺岡 英語でいけるんですね、中国語をしゃべれなくても大丈夫なんですね。
岡村 特に日本人にうれしいのは、シングリッシュと呼ばれる独特の、可愛い訛りなんですよ。語尾に全部「ら」ってつくんですよね。
サッシャ I’m hungry らー(笑)。
岡村 めちゃめちゃ上手ですね(笑)。
寺岡 えー、可愛い(笑)。
岡村 イントネーション完璧でびっくりなんですけど(笑)。こう言うとすごく喜んでくれます。
クイーンズ・イングリッシュはハードルが高いじゃないですか。なんか鼻に抜けるように言われると、ドキッとするんですが。
寺岡 確かに、そうですね。
岡村 シンガポールだと日本人訛りだろうがなんだろうが、気楽にいける。そういう居心地の良さもありますね。
寺岡 色々な国の方がいるからこそ、英語がちょっと崩れていても受け入れてくれるんですね。
岡村 全然問題ないですね。日本人訛りはいい方ですよ。

移住は「日本を捨てる」じゃない

サッシャ マレー系もいればインド系、中国系もいますしね。仕事を探そうと思うと、やっぱり英語は必須ですか?
岡村 そうですね、最低限。ただ、さっき言ったように、求められる英語がネイティブの、すごく流暢な言葉とかではないので、ハードルはだいぶ低いと思います。
サッシャ どういう人材が、シンガポールで仕事を見つけやすいですか?
岡村 色々な人材がいますね、人種的にもありとあらゆるところからきているので、そういうバイアスはあんまりありません。
逆に自分の業界で何か強みとなるポイントがあれば、ありとあらゆる業界が本社を置いてますから、みんなチャンスがあると思います。
サッシャ そうですか。じゃあ「英語はちょっと」と思っている人もチャレンジし甲斐はあるということですか?
岡村 いきなりニューヨークに行くのは多分、ハードルが高いじゃないですか。アジアは人は優しいので、溶け込みやすさもあります。ぜひ、まずは短くてもいいので遊びに来てほしいと思います。
サッシャ もし、日本の優秀な人材が移住してしまうと「痛手になる」と思う方もいらっしゃると思いますが、この辺に関してはいかがですか?
岡村 僕も移住する時に、友達に「日本を捨てるのか」と言われました。今回のこの記事でも、孫さんに対してそういうコメントが結構あったと思うんですね。でも、あんまりそうガチガチに考える必要はないかなと思っています。
僕は頻繁に移動していますが、一つの都市は、一つの生活の場として、色々な使い方があると思います。さっきサッシャさんがおっしゃったように、アジアの中で非常に面白い場ではあるので「場として使ったらいんじゃないかな」くらいに考えています。

日本に英語をもっと学べる場を

寺岡 日本の規制や教育が移住の理由に大きく関わっている、という記事のタイトルなんですが、日本のシステムや教育と比較して、シンガポールは違うんですか?
岡村 うちの子は、シンガポールのインターナショナルスクールに通っているのですが、多様性が違うのはもちろん、英語教育だったり中国語教育だったり、カリキュラムも結構違いますね。
そこから学べることといえば、例えば、東京の外国人の多い港区の一部でインターナショナルスクールを特区的に作るのを認める、などがあるのではないでしょうか。いきなり日本全体は難しいでしょうから。
インターナショナルスクールを卒業した子は、そのまま日本の大学に行けるように卒業資格を得られるようにするとか。シンガポールと同じように規制を緩和しても面白いかもしれないですね。
サッシャ なかなか日本の英語教育が進まないと言われます。努力しているんでしょうけれど、もう少し起爆剤が必要だということですか?
岡村 そうですね。僕の子と同年代のお子さんはみんな「夏休みだけはシンガポールに行って、インターナショナルスクールに通おうか」とか、英語教育に関心を持っています。
東京のような都市で「場がない」のは、もったいないことだなと思いますね。
サッシャ いわゆる日本の義務教育の公立の小中学校でも、もちろん英語教育をやっていますけれど、他の国に比べると英語力では日本は追いついていないところもありますよね。
岡村 全体のレベルは追いついていないですね。
寺岡 シンガポールみたいな環境だと、自然と英語を使う機会が増えそうですもんね。日本にいるとなかなか実践的に街で英語を使う機会は少ないと思うので。私、行ったことがないのでちょっと興味が湧きました。
サッシャ ご飯も美味しいですしね。
岡村 日本食しかダメな人も全く問題ないです。ラーメン屋さん、牛丼屋さんは、東京都と同じくらいの頻度であるので。
寺岡 いいなぁ。

トライアンドエラーに学ぶ

サッシャ 岡村さんから見て、シンガポールに住んでいて、学べることって何ですか? 実際に東京もこうなったらいいのになっていうところは?
岡村 やっぱり、色々とやっちゃえばいいんですよ、日本って失敗すると批判されるんですけれど、シンガポールはトライアンドエラーを色々やりながら、それに学んできている。
サッシャ 国として失敗しているんですか?
岡村 小さな、本当に会社みたいな国なので、色々チャレンジしています。ぜひ日本でも、東京の一部からでもいいので特区などで真似してほしいなと思います。
サッシャ それで国際的な人材をもっと生み出せるようになれば、日本の国際競争力も上がっていくんじゃないかと。
岡村 上がっていきますし、逆にシンガポール人は日本にそれくらい期待しています。
サッシャ そうなんですか?
岡村 本当に日本のことが大好きです。友達とかも僕らより日本の観光地に行っているくらいです。向こうは大好きなので、こっちも歩み寄って、一緒に成長できたたらいいなと思います。
サッシャ なるほど、歴史を考えれば、シンガポールとの縁もありますしね。一度チャンスがある方は訪れてみるといいですね。
今後もNewsPicksを通じて、シンガポールに関する情報発信をしていただくと思うので、またヒントを教えていただきたいと思います。ありがとうございました
岡村 ありがとうございました!
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした岡村さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
7日はジェイ・キャピタル・パートナーズ株式会社 Founder and CEOの田中博文さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください