[東京 9日 ロイター] -中小型液晶世界最大手、ジャパンディスプレイが、東京証券取引所への株式の上場を申請したことがわかった。市場から資金を調達して成長の見込めるスマートフォンやタブレット端末向け液晶の生産設備の増強に充てる。

複数の関係筋が9日ロイターに明らかにした。株式上場は2013年度内を目指し、2000億円規模の資金を調達したい考え。調達した資金は、既存の液晶工場の能力増強や新工場の建設資金に充てる。

ジャパンディスプレイは2012年4月に日立製作所<6501.T>、東芝<6502.T>、ソニー<6758.T>の中小型液晶事業を統合して発足。筆頭株主の産業革新機構は69.52%の出資を占めるが、上場後に株式の一部を手放して、資金回収を図る。

13年3月期の売上高は4500億円程度で、営業損益は数十億円の黒字を確保。14年3月期の業績については、当初は売上高7000―8000億円、営業利益率5%前後を目指していたが、業界関係者によると、主力の液晶生産拠点の茂原工場(千葉県茂原市)の製造が10月以降低迷している。

主力工場の稼働が計画より落ち込めば今期業績に直結し、資金調達額にも影響することになるが、関係筋によると、早期の株式上場の方針を維持することにしたという。

茂原工場は、パナソニック<6752.T>から譲渡され、総額2000億円の投資額で今年6月に稼働を開始した。今期は、スマホとタブレット端末用の液晶の注文を数多く獲得して、同工場の生産を増強することが事業計画の柱。業界関係者によると、米グーグル<GOOG.O>と米アマゾン<AMZN.O>がタブレット端末用液晶の発注を切り下げたことが同工場の稼働に響いたが、年度末にかけて他メーカーからの追加受注を目指し、稼働率の引き上げを図っているという。

ジャパンディスプレイの広報担当者は、この件に関してコメントできないとしている。