【最終回】東原社長「日立107年のマインド、内部から壊す」
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注目のコメント
これが特集最終回になります。
特集を通して、日立の歴代トップたちが、世界のデジタルの潮流を日本ではいち早く掴んで、組織改革、ビジネスモデルの変革に取り組んできた様子が、生の感覚で伝わってきました。
一方で、多くのコメントでご指摘頂いたように、あらゆるモノが、ソフトウェア化していく、このIoTの流れを、SIをメインでやってきたITと営業部隊で、勝ち残っていけるのか。この10年の電機業界は、「すでに持っていること」が特にスピード感で弱みとして働いてきた場面も何度もありました。
ただ、その点で個人的に、面白かったのは、研究所出身の方々です。このIoT化の波を技術ベースでもきちんと見据えられている方々の強みがきちっと発揮される組織、ビジネスがちゃんと作り上げられれば、何か面白い形が産まれてくるのではないかと勝手ながらに感じました。
7日間にわたる特集をお読み頂き、ありがとうございました。東原さんの、IoTにおけるサービス付加価値へのコメントが今後の日立のチャレンジの全てを示唆する。
「売り上げという側面でいうと、そんなに増えないんですよ。バリューシェアのサービスは、モデルが全く違うんです。」「そこも考え方を変えないと。」
GE・シーメンス・日立が目指すプラットフォームを軸にしたIoTのサービスモデルは、従来のハードウエア事業に対して、収益構造が全く異なり、「売上高は低いが、粗利率が高い」というモデル。インフラ事業のハードウエアで1000億円は普通のビジネスだが、これをIoTでのソフト販売で達成するのは流通・人材・開発に相当な投資が必要となり、ある程度デファクトスタンダード化しないと厳しい数値。逆説的に言えば、ハードの1000億円からの出る粗利は、ソフトでは1/10-20の売上で達成してまう数値。
この収益構造の違いが、今後日立がソリューションカンパニーを目指す場合に「そこも考えていかないと」という発言となり、ビジネスモデルに関する全く異なる思考が社内で受け入れられるかどうかのボトルネックとなり得る。
「デジタルカンパニー」「ソフトウエアカンパニー」「ソリューションカンパニー」といった、各重電メーカーCEOの発言の裏には、そういったビジネスモデルのみならず、社内意識を改革しなければならないという使命感と危機感がある。
日立も含めて、重電メーカーが100%ソフトウエア企業になることはあり得ないし、ソリューションのみで事業を成り立たせるのも困難。
例えば、#5の鉄道事業で、事業を鉄道車両抜きのソフト部分のみに頼ると、売上目標1兆円は1000億円くらいに落ちる。
そのため、保守運営も含むソリューションを付加価値とした、ハードウエアも含むパッケージ化が必要となるし、そもそもハードからのノウハウ(データ)をソフトにスムースに繋げられるのが重電メーカーの強み。
今後の重電メーカーの経営は、この辺りのソリューションサービスを、IoT市場の中で、デジタル製品やデジタルサービスをハードの販売とどう両立させてシナジーを生み出すかに尽きる。
面白い時代になって来ました。
森川さん他、取材チームのみなさん、どうもご苦労様でした。秀作でした。面白かったです。良い特集でした。世界で戦えるソフトウェアに変革できるのか、など色々厳しいことを書きましたが、逆に言えば世界の頂上決戦に参戦できるポジションになってるということで、是非頑張ってほしいところ。日本選手がオリンピックで何色のメダルをとれるか、という感覚に近いところもあったりします。そのためには「必要なパーツを全部持ってる」というアピールは顧客向け、投資家向けだけにして、社内では「持っていることが弱みになるとか言われてるぞ。死ぬ気で変わらないと!」と発破をかけるくらいが良い気がします