「イスラム国」、小型無人機「ドローン」を使い攻撃
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注目のコメント
これは宣伝用のビデオですね.
映像を見る限りCGも使われていてどこまで現実に行えているのか,疑問もあります.手投げの機体重量は2kg程度でしょう.そこに小型の爆弾を載せたとしても手榴弾程度で,戦車を破壊できるとも思えません.また爆弾がレーザー誘導されているような映像がありますが,この大きさの機体と爆弾では無理でしょう.ここは明らかにCGですね.
ただ,無人機を巡航ミサイルとして,機体そのものを体当たりさせることは可能で,こちらのほうが脅威です.1発100万円(1万ドル)以下で製作可能でしょう.
我々の研究室も無人機とその誘導制御装置を開発していますが,このような使われ方があることを十分に考慮しています.
ちなみに,ドローンが初めて攻撃用として実戦投入されたのは,2001年のアフガニスタン紛争です.アメリカのヘルファイア・プレデターです.シリア内戦は史上初のドローンが実戦に使われた戦争として歴史に残ることでしょう。
YouTube とかを見るとそれこそ山のようなドローンによる動画がアップされています。
最初はドローンで偵察した後、自爆車を突っ込ませるような形でしたが、最近では敵の上で手榴弾のピン抜く形や、迫撃弾あるいはHeat弾を戦車の上層装甲に直撃させるタイプまで現れ、ほとんど空爆といって差し支えないレベルになっています。
ペイロードの問題で、威力こそ小さいものの、迎撃は困難で、安価なドローンは歩兵にとっては大きな脅威となりうるわけです。
ドローン戦争の真の意味は、ISのような航空機を持たない、あるいは軍事的に劣勢で航空優勢を確保できない側であっても、敵陣の爆撃が可能になったということでしょう。
正直いってISのドローンの実戦導入もっと早ければ、イラク、シリアの戦況はどう変わっていたかわかったものではありません。
貧者が空中偵察、爆撃の手段を手に入れたというドローンの活用は、次の戦争では間違いなく戦局を揺るがすような大きな影響をもたらすはずです。
(追記)
土屋先生のご指摘もそのとおりですね。
追加すると、両軍がドローンを使用した戦争はシリア内戦が実質的に始めで、大国の軍用無人機による一方的な攻撃の手段ではなく、民生ドローンが貧者の空軍として今後の戦術に大きな影響を与えたと言えると思います。
なお、ドローン自体では装甲車両の破壊は勿論不可能なのですが、ISはドローンの偵察と先制攻撃で相手を混乱させた後、装甲自爆車両を突入させる戦術をしばしば使います。
自爆車両搭載の爆弾は多いものはトン単位に及ぶものもあり、戦車も軽く葬ります。
いつの世も、戦争は諸兵科連合が肝で、その意味で貧者の空軍の意味は意外と侮れないと思うのです。イスラム国は、イラクにおいては、米軍が空爆で道路を徹底的に破壊したことで、得意とする大型自動車に爆弾を搭載した自動車自爆テロ(VBIED)攻撃が出来なくなり、イラク軍に対して効果的な攻撃が出来ずにいます。
苦肉の策としてドローンを多用していますが、ドローンによる爆弾攻撃は、従来の自動車爆弾テロに比べればはるかに破壊力は低く、実際にイラク軍側の被害はそれほど大きくありません。
このビデオはISがプロパガンダのために作ったものであり、相手に恐怖を与える心理戦の一環です。ISは戦闘員も減少し、追い込まれているがゆえに、それほど大きな脅威ではないドローン攻撃を、ここに来て大々的に宣伝しているのだと思います。
とはいえ、先進国等でも真似する人が出てくる可能性は否定できないので、注意は必要です。