【渡辺努×小幡績】ポスト・アベノミクスの可能性

2017/2/14
アベノミクスの政策ブレーンである浜田宏一・米イェール大学名誉教授を“変節”させた、米国のノーベル賞経済学者クリストファー・シムズ教授の論文。そんな「シムズ理論」に基づけば、日本では今後、どのような経済政策が考えられるのか。それは新たなリフレ政策の始まりか。最終回の本日は、「シムズ理論」に精通する2人の経済学者、渡辺努・東京大学大学院教授と、小幡績・慶應義塾大学ビジネススクール准教授の、対談後編をお送りする。
第1回:【新】なぜ「消費減税」が本気で語られているのか?
第2回:アベノミクスの政策ブレーンは、なぜ“変節”したのか

とりうる政策の手段

──前回までの話を整理すると、要はシムズ教授は、戦時中のインフレ時や通貨危機のときのように、財政規律をむしろ意図的にゆるめて、将来の税負担は増えないと国民に信じさせることが重要だ、と言っているわけですね。