ノンバンクからインフラまで。巨人フォートレスの野望

2017/2/10
米国のビジネス界で存在感を高める、プライベートエクイティ(PE)。近年、その投資分野は、企業のみならず、公共インフラ、自治体にまで拡大している。全米を席巻するプライベートエクイティの全貌にニューヨーク・タイムズの取材班が迫る(全8回)。 
予告:年収800億円。プライベートエクイティ幹部の3つの収入源

政治の影にプライベートエクイティ

ごつい外観と点在するサボテンが独特の雰囲気を醸し出すアリゾナ州議会議事堂。その一室で開かれていた委員会でケルシー・ランディは演壇に上がると、新法案の内容と、ノンバンクの上限金利引き上げを認める法案がなぜ必要なのかについて熱弁を振るった。
ただしランディは議員ではない。政府職員でもインターンでもない。全米でも指折りのノンバンク「スプリングリーフ・フィナンシャル・サービス」のロビイストだ。実は法案を書いたのも、スプリングリーフだ。
その数カ月後、アリゾナ州議会はこの法案を可決した。こうしてスプリングリーフは、ギリギリの生活を余儀なくされている人たちに、これまでよりも高い36%の金利を課せることになった。2014年のことだ。