ハゲタカか名参謀か。法案の草案づくりまで担う「政治力」

2017/2/11
米国のビジネス界で存在感を高める、プライベートエクイティ(PE)。近年、その投資分野は、企業のみならず、公共インフラ、自治体にまで拡大している。全米を席巻するプライベートエクイティの全貌にニューヨーク・タイムズの取材班が迫る(全8回)。 
予告:年収800億円。プライベートエクイティ幹部の3つの収入源

州法案の草案づくりも担当

2010年にプライベートエクイティのフォートレスが、サブプライムローン融資会社のスプリングリーフを買収したことは、プライベートエクイティが一種のニッチ産業から、ウォール街の有力なプレーヤーに進化したことを示す出来事になった。
スプリングリーフの事業は、もともとAIGとシティグループの傘下にあったが、どちらも金融危機で政府の数十億ドル規模の救済を必要としていた。そこでフォートレスは、スプリングリーフを1億2400万ドルで買い取った。現在その時価総額は19億ドルだ。
スプリングリーフにとって、ロビー活動は会社の成長を支える重要な仕事の一つだ。スプリングリーフのロビイストたちは、上限金利の引き上げを可能にする立法をさまざまな州で勝ち取っている。
そんなことはない、少なくとも2つの州では失敗していると、スプリングリーフは主張する。
「多くの州議会議員は、この分野の専門知識がある立法スタッフが十分いないから、こちらの希望を通すには、法案の草稿をこちらで用意しなければならないことがある」と、スプリングリーフのジョン・アンダーソン・バイスプレジデントは語る。「それでも用意した草案が、一言一句そのまま採択されることはめったにない」