現代プライベートエクイティの「冷徹な儲けの原理」

2017/2/6
米国のビジネス界で存在感を高める、プライベートエクイティ(PE)。近年、その投資分野は、企業のみならず、公共インフラ、自治体にまで拡大している。全米を席巻するプライベートエクイティの全貌にニューヨーク・タイムズの取材班が迫る(全8回)。 
予告:年収800億円。プライベートエクイティ幹部の3つの収入源

懐かしのお菓子でボロ儲け

2013年夏のある朝、マンハッタンのロックフェラープラザに、真っ赤なトラックが停車した。周辺には、プラザ内のスタジオから放送されるNBCの朝の情報番組「トゥデー」を見ようと、大勢の人が集まっている。
番組のホストの1人、アル・ローカーはトラックを降りると、歓声をあげる観客に向けて、お菓子のトゥインキー(クリームが入った一口サイズのスポンジケーキ)を投げ込み始めた。
人々は大喜びで、さっそくパッケージを開けると、口に頬張った。女性司会者はワンピースの襟ぐりから、トゥインキーを胸に詰め込んだ。
強烈に甘くて、高カロリーで、決しておいしいとはいえないけれど、アメリカ人なら誰もが食べたことがある懐かしのお菓子。発売元のホステス・ブランズ社が倒産して、一時期市場から姿を消していたトゥインキーが復活した。
ホステス社が販売するトゥインキー。懐かしのお菓子が、プライベートエクイティの参画で生まれ変わった(写真:iStock/vicm)
「トゥデー」の表現を借りれば、「史上最高に甘いカムバック」だ。
だが、ひょっとすると一番甘い思いをしたのは、プライベートエクイティ運用会社のアポロ・グローバル・マネジメントとC・ディーン・メトロポウロス&カンパニーかもしれない。