ベーシックインカム導入実験をする理由

2016/11/28
シリコンバレーのVC、Yコンビネーターはカリフォルニア州オークランドで大規模なベーシックインカム導入の実験を進めている。
「ロボットが普及し、人間が働く必要がなくなった社会」を想定して、30〜50人の対象者に月額1500〜2000ドルを支給する。この実験の目的とは何か。

「週5日働く」は思い込みだ

──Yコンビネーターが行っているベーシックインカム(BI)の実験の意図とは?
BIの実験で予想される結果は、大きく分けて二つです。
一つは、一部の人が言うように、人間が怠惰になって働かなくなり、何も生み出さなくなるということ。
そしてもう一つは、人間がもっとクリエイティブになり、より多くの時間を家族と過ごすようになることです。
BIの実験は人間がどちらの道に進むか、教えてくれるのだと思います。家にこもってテレビの前でダラダラと過ごすか、創造的になるか。それは誰にもわかりません。
しかし、一つだけ明らかなことがあります。それは「人間は週5日、毎日8〜10時間働くべきだ」と決めつけるのはバカげている、ということです。
そんなことは法則でも何でもありません。
2000年前の人たちのことを考えてみてください。彼らは私たちとはまるで違った生き方をしています。週に40時間のデスクワークなどしていません。むしろデスクワークのほうが“自然なこと”ではない。