【徐東輝×朝倉祐介】民主主義において支払わないといけないコスト
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注目のコメント
こちら、徐さんと近所のPhilz coffeeでお話しした内容ですが、まさに”茶飲み話”でして、当初はNewsPicksの記事になる予定もありませんでしたし、私自身は政治は門外漢。ましてやアメリカ政治なんてド素人もいいところです^^;
ほぼただの世間話であることを予めお断りしておきます。連載の箸休めということで、ひとつご理解下さい。本編は明日から再開ですよ~。
大統領選は投票権という点で他人事とは言ったものの、確実に日本にも影響を及ぼすという意味においては、日本人にとっても必ずしも他人事とは言い切れませんね。
両陣営ともに「自分たちの候補者をサポートしたい」という気持ちと同等、もしくはそれ以上に「相手陣営の候補者が嫌い」という気持ちが前面に出ているのが、少々悲しくなります。
http://www.pewresearch.org/fact-tank/2016/09/02/for-many-voters-its-not-which-presidential-candidate-theyre-for-but-which-theyre-against
最後の討論会の後、CNNでコメンテーターが"This is a very sad night for the country"とコメントしていたのがなんだか印象に残りました。朝倉さん、お忙しい中ありがとうございました。
少しpickが遅れてしまいました。
民主主義のコストの話については、プロセスにおいて支払うコスト、結果として支払うコストの2つがあると思っています。直接選挙かつ任期満了まで原則続ける大統領選挙がハイリスクハイリターンで、間接選挙かつ解散がある日本の議院内閣制はローリスクローリターンじゃないのかなぁとお茶を飲みながら考えておりました。
記事の中にある、行動遺伝学の発展が人類にもたらす倫理の挑戦のお話は、朝倉さんから提示していただいた今後の課題として今も頭を悩ましています。
朝倉さんには、「コーヒー飲ませてください」とお願いして、記事にする予定もなかった中で、次々に深い示唆的なお話をしてくださって本当に感謝しております。朝倉さんが「茶飲み話」と謙遜されているが、どうしてどうして、素晴らしく本質を突いた議論。民主主義そして資本主義のコスト、教育のあり方についても、ものごとを鳥瞰して議論を組み立てているあたり、さすがというほかない。
私個人としては、面白いことに朝倉さんには全く異論がない。オープン化は不可避なもので、それに対する抵抗も自然界の物理現象的に発生するものの、資本主義を肯定し、現象として不可逆な流れであることを前提に、教育(特に幼児教育や義務教育)の重要性を論じている。
重要なのは、朝倉さんが性善説ではなく、性悪説に立っている点だ。ものごとには常に「バグ」が存在し、その「バグ」を前提に市場原理を持ち込んで自己修復機能を働かせるという考えは、私も常に思っているところだ。これまで、共産主義、社会主義といった本来ヒューマニズムに支えられたイデオロギーが、結局、そのような「バグ」ヤられてしまったのは、これが現実であることの証左のような気がしてならない。
その一方で、朝倉さんも仰るように、教育により機会の平等を担保しようとしても、先天的な要因が能力差や所得差に直線的に繋がっているということが事実である可能性もある。少なくとも、今の社会経済システムに対して、先天的に優位な人間と不利な人間というのは確かにありそうだ。それが人種というレベルかもしれないし、性別というレベルかもしれないし、同じ人種・性でも違いはありうる。
今回の朝倉さんと徐さんの議論で踏み込めなかった議題として、実は案外この点が重要になってくるような気もしている。Brexitの問題についても、米国のトランプ旋風も、単なるOpen-Closeだけの問題ではなく、先天的に今の社会経済状況では生きにくい人達によるものなのかもしれない。このような観点もタブー扱いせず、様々な仮説をベースに議論することが必要なんだろうな、というのは私の率直な感想だ。