[東京 27日 ロイター] - 富士通<6702.T>は27日、パソコン世界最大手の中国レノボ・グループ(聯想集団)<0992.HK>との戦略提携について検討を進めていると正式に発表した。富士通の田中達也社長は記者会見で「PC事業を強くする観点で考えている」と説明する一方で、「FMV」で知られるブランドについては「維持する」との意向を示した。

パソコンの研究、開発、設計、製造が検討の対象。田中社長はレノボを交渉相手に選んだ理由について「グローバルに強いベンダー。我々の事業をより強くできると考えた」と説明した。

両社の同分野での協業検討では、日本政策投資銀行と財務面と戦略面での支援について協議を進めているという。

パソコン事業が富士通の連結決算から外れるかどうかについて田中氏は「それが最適であると判断すればそうなる」と述べ、レノボに事業の過半を譲る方向と示唆した。

<17年度利益率5%視野に>

同時発表の2016年4─9月期連結業績(国際基準)は営業利益が258億円だった。前年同期は124億円の赤字。パソコンや携帯電話に加え、サーバーや携帯電話基地局などの事業収支改善が寄与した。昨年2月に分社化した携帯電話とパソコンは、ドル建て部材のコストダウンや費用の効率化が奏効した。

17年3月期通期の営業利益予想は前年比横ばいの1200億円とする従来予想を据え置いた。トムソン・ロイターがまとめたアナリスト16人の予測平均値は1177億円。

同社は昨年10月末、「目指す姿」として営業利益率10%以上を掲げ、この日併せて発表した経営方針でも目標を維持した。パソコンなど非中核事業を縮小し、人工知能などの最先端技術を駆使したITサービスに経営資源を集中する戦略だ。

16年度の営業利益は2.6%の見通しだが、田中社長は、「2017年度に営業利益率5%ゾーンが見えてきた」と述べた。10%以上の達成については「在任期間中にやり切りたい」(田中氏)としている。

*内容を追加します。

(浜田健太郎)