福岡で見た「地方創生」のポテンシャル

2016/10/27
第二次安倍政権が「地方創生」を掲げたことで地方に着眼する企業は増え、2020年の五輪開催地が東京に決まったことで拍車がかかっている。とはいえ、実際に各地域でどのようなムーブメントが起きているのかは見えにくい。実のある活動は、地域で本当に起きているのか。
地方創生の現場・現実を探るために、今回、域内総生産額が北海道(18兆2690億円)とほぼ同じ規模を誇る福岡県(18兆1900億円、ともに平成26年)を中心とした九州に照準を当てた企画を組んだ。
日本IBMが今春に立ち上げた九州活性化プロジェクト「イノベートハブ・九州」の現地リポート、行政機関のキーパーソンや地元の大学教授、ベンチャーキャピタリスト、福岡で起業することを選んだ起業家のインタビューで、九州で起きている地域活性化の「リアル」と「ポテンシャル」を全8回にわたって紹介する。
Part1:なぜ九州なのか
80拠点の事業所を設置して、主要商圏だけでなく全国に根付いたビジネス展開をする日本IBM。東名阪といった主要商圏にしか支社や営業所を設置しない外資系IT企業の中では珍しい存在だ。
そのIBMが今春、地方自治体や教育機関、そして地元企業と手を組み、九州地域に絞った地域活性化プロジェクトを立ち上げた。九州を選んだ理由、プロジェクトの具体的な中身とは何か。世界最大手のIT企業が仕掛けたプロジェクトから九州の魅力、地方の可能性を知る。
Part2: 地方ハッカソンの現場・現実
今年8月〜9月にかけて、37社・団体が協賛・協力したハッカソン「イノベートハック・九州」が開催された。福岡を中心に九州のスタートアップや伝統企業、そしてアジアから約90件の応募があり、異様な盛り上がりを見せた。
福岡で開催された最終選考イベントの内容や、最優秀賞作品の中身、そして関係者への取材を通じて感じた地方イベントの成功の秘訣を3回にまとめた。
Part3:産官学のキーマンが語る福岡のチカラ
オリジナリティがあり他地域よりもユニークなポジションを築いていると言われる福岡。九州最大の街は、シリコンバレーのような存在になる力があるのだろうか。
現地の行政機関担当者や大学教授、そして民間企業のキーパーソンに、それぞれの視点で九州のポテンシャルを語ってもらった。
Part4:福岡を創業の土地に選んだ起業家
東京に本社を置くインキュベーター、サムライインキュベートに約4年間在籍していた両角将太氏は独立を決意し、創業の土地に福岡を選んだ。今夏から本格的な活動を始め、現地のスタートアップの経営支援や投資活動を経て、福岡を「起業の街」にしようと動いている。
両角氏が福岡を選んだのは、自身の故郷であるという単純な理由だけではない。その理由と地方のスタートアップ事情などについて、両角氏が籍を置いたサムライインキュベートのファウンダーである榊原健太郎氏との対談で迫る。
Part5:アジアのハブに向けて
九州、とくに福岡は海外企業に「日本の玄関」として関心を持たれるケースが多い。福岡の企業もその地理的メリットから海外市場への意識が高く、アジアのハブとして機能する可能性がある。
九州地域の行政機関や企業との協業を推進する台湾の政府関係者と、台湾政府と提携する日本のスタートアップのキーパーソンにインタビューを実施。海外から見た九州、九州から眺める世界について話を聞いた。