(Bloomberg) -- 米AT&Tとタイムワーナーの上級幹部が過去数週間に会合を開き、合併の可能性を含むさまざまな事業戦略について協議した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

20日のニューヨーク株式市場ではタイムワーナーの株価が上昇し、一時9.5%高の86.75ドルを付けた。これに基づく同社の時価総額は約675億ドル(約7兆180億円)。AT&Tの株価は約2%下落した。

同関係者によると、協議は現段階で非公式で、特定の取引の条件を確定するのではなく、両社の関係を構築することに焦点を絞った。協議が部外秘であることを理由に匿名を条件に語った。関係者によれば、両社ともに財務アドバイザーはまだ起用していないという。

関係者1人によれば、タイムワーナーのジェフ・ビューケス会長兼最高経営責任者(CEO)は、適正と判断できる提案があれば、会社の売却に前向きだという。2014年にはルパート・マードック氏率いる米21世紀フォックスがタイムワーナーに1株当たり85ドルでの買収を提案したが、ビューケス氏と取締役会はこれを拒否した。21世紀フォックスの提案はタイムワーナーの価値を750億ドル余りと評価する内容だった。

AT&Tとタイムワーナーの担当者はコメントを控えた。

ディレクTV買収を上回る規模に

タイムワーナーの株価は年初から19日までに約23%上昇していた。ケーブル局「HBO」プレミアムチャンネルとターナー部門の売り上げの伸びが評価された。AT&T株は今年に入ってから12%上昇、時価総額は約2380億ドル。

AT&Tはこの10年間で地域電話会社から全国規模の巨大通信企業へ脱皮を遂げた。計画に詳しい関係者が今月明らかにしたところによれば、同社はメディア・娯楽分野へ事業を拡大するため買収に注力する方針で、20億ドルから500億ドル規模の企業がターゲットに含まれているという。

AT&Tは昨年、米衛星放送のディレクTVを485億ドルで買収したが、タイムワーナーの買収はこれを上回る規模となる見通しで、ブルームバーグがまとめたデータによると、少なくとも過去10年間で最大の買収案件となる。

原題:AT&T Said to Discuss Takeover Idea in Time Warner Meetings (1)(抜粋)

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