[東京 19日 ロイター] - 金融庁は19日、金融審議会(首相の諮問機関)の部会で株式市場などで超高速取引を行う事業者に登録制を導入する方針を示した。目立った異論は出ず、部会が年内にも取りまとめる報告書に盛り込まれる見通し。金融庁はこの方針に基づき、金融商品取引法の改正案を早ければ次期通常国会に提出する。

近年、アルゴリズムを用いた高速取引が活発化。証券市場の流動性に厚みが増す効果がある半面、市場の不安定化やシステムの脆弱(ぜいじゃく)さといった問題が指摘されている。金融庁は、超高速取引の全体像を把握し、事業者にリスク管理体制などを義務づけることで、年金基金や個人投資家など多様な参加者が安心して参加できる市場づくりを目指す方針。

規制の動きは欧米で先行している。欧州では、2018年1月からアルゴリズム高速取引を手掛ける投資家の登録制が導入され、誤発注の防止措置や取引記録の保存などが求められる。

部会の委員を務める新日鉄住金の宮本勝弘・常務執行役員は「わが国だけが欧米市場と違いがあれば、狙い撃ちされるリスクがある」と指摘、欧米と同等の環境整備を求めた。

(和田崇彦)