【猪瀬×おときた】内田ドンの命運

2016/10/17
小池百合子氏の圧勝で終わった東京都知事選挙。小池都政がまず取り組むべきテーマは何か。東京大改革を成功させるポイントは何か。NewsPicksは「小池都政を問う」というテーマのイベントを9月に開催した。猪瀬直樹氏とおときた駿氏によるセッションを5回連続で掲載する。 
第1回: 都政問題の本質
第2回: なぜ築地の問題が噴出しているのか

内田ドンが金メダル

佐々木 猪瀬さんは、 NewsPicksに掲載したインタビューで、「都議会のドン」である内田茂・都議会議員の問題について指摘しました。内田氏は、都知事選後、自民党都連幹事長を退きましたが、その影響は大きいでしょうか。
猪瀬 高島直樹さんが代わりに幹事長になったけど、結局、内田ドンがその後ろにいるということは、皆さんわかりますね。
結局、内田ドンが金メダル。銀メダル、銅メダルがなくて、4位が高島さんなんだよね(笑)。
おときた それだけドンはすごいと。でも高島さんのメディア対応などを見てると、反感を買わないようなソフトな感じですよね。ちょっと内田さんとはタイプが違うと思いますけど。
猪瀬 猫をかぶっていますね。
佐々木 やっぱりドン支配は揺らがないということですか。
猪瀬 そういうことだね。
今回の都知事選挙では小池さんはドンの存在が明らかになることによって当選した部分もある。僕が知事だったときは、まだドンが有名じゃなかった。「週刊文春」に、「内田ってやつがいて、いろんな邪魔になってるんだよね」という話をしても、わかってもらえなかったんです。
それで、僕が知事になった2カ月後の2013年2月に千代田区長選があった。現職の区長が立候補したんだけど、内田ドンは千代田区長がだんだん言うことを聞かなくなってきたものだから、副区長を立てたんだよね。71歳の区長に71歳の副区長を立てるんだよ(笑)。
そのとき僕は当選したばかりで、区長の側に立った。そうしたら副区長が見事落ちた。
これでドンもしばらくおとなしくなるかと思ったら、7月の都議選で、自民党が全員当選した。民進党が前年にダメだった反動で、安倍自民党が勢いづいたものだから、新人まで60人全員当選。
猪瀬直樹(いのせ・なおき)
作家、元東京都知事
1946年長野県生まれ。1987年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人等の廃止・民営化に取り組み、2002年、小泉純一郎首相から道路公団民営化推進委員に任命される。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授などを歴任。2007年東京都副知事。2012年から2013年、東京都知事。2015年から日本文明研究所所長、大阪府市特別顧問。
おときた 正確には59人でしたね。それまで40名前後だったのが1.5倍になった。