[東京 26日 ロイター] - 日銀が26日に発表した2016年4─6月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は6月末時点で1746兆円となり、前年に比べて1.7%減少した。減少は2四半期連続。世界経済の先行き不透明感の強まりなどを背景とした年初来の株価下落を受け、保有資産の時価評価が目減りした。

家計の金融資産が2四半期連続で減少するのは、2009年第1、第2・四半期以来、7年ぶり。

内訳を見ると株式等が144兆円となり、前年に比べて16.6%減と2四半期連続で減少した。投資信託は87兆円と同11.7%減り、こちらも2四半期連続の減少。株安や円高の進行による時価評価の目減りが響いた。投資信託に対する資金の流入自体は継続している。

一方、資産の過半を占める現金・預金は同1.2%増の920兆円となった。債務証券は金利低下による債券価格の上昇や、個人向けの国債や社債の発行増などを背景に32四半期ぶりに増加に転じた。

企業の金融資産は同4.6%減の994兆円となり、こちらも株安などを主因に2010年第3・四半期以来の減少となった。株式等は同19.2%減の258兆円と2四半期連続で減少した。

一方で現金・預金は7.8%増の242兆円と過去最高を更新。家計・企業ともに、流動性の高い預金を中心に積み上げる慎重姿勢が継続している。

国庫短期証券や財融債を含めた国債残高は同6.6%増の1105兆円となり、過去最高を更新した。

大規模な国債買い入れで金融緩和を進めている日銀が398兆円と、400兆円に迫る最大の保有主体。年率30%を超えるペースで保有額を膨らませており、国債残高に占める比率は36.0%に達した。

金融機関が保有額を大きく減らし続ける一方、海外は増加基調が継続。残高は過去最高の111兆円となり、保有比率は10.0%となった。

また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は4─6月期に長期国債(財融債含む)を1兆1252億、外国証券を1168億円それぞれ売り越した。株式は5577億円の買い越しとなった。

*内容を追加します。

(伊藤純夫 編集:山川薫)