【3分読解】ヘッジファンドから年金まで。「ファンド大解剖」

2016/9/30

上陸した「新種のファンド」

「アベノミクスは、いよいよ下げ相場に入ったのか」ーー。
今年8月、ある株式市場関係者はそう感じ取った。
米ファンドのシトロン・リサーチが、医療用ロボット開発を手がけるサイバーダインに「空売り」を仕掛けたときのことだ(「予告編」参照)。その直前の7月末にも米空売りファンドのグラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事を狙い撃ちにしており、日本企業に狙いを定めた空売りの事例が立て続けに起きたからだ。
空売り(ショート)ファンドは、株価が高すぎると判断した会社の株を狙う。そして、株価が下落したところで買い戻し、利益を得る。
ただ、こうした個別の銘柄だけでなく、そもそも株式市場全体が「下げ相場」のときのほうが、相場につられて株価を下げやすいため、空売りのパフォーマンスは上がりやすい。つまり、空売りファンドが目立ってきたことそのものが、日本株の「下げ相場入り」を予感させたというわけだ。
ただややこしいのは、シトロンやグラウカスが、いわゆる「モノ言う投資家(アクティビスト)」でもあったことだ。