【最終回】江戸時代にもベーシック・インカムの原型があった
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注目のコメント
なかなか興味深い連載でしたが、最後は話が広がりすぎてやや散漫な印象でしたかね。
特に「殿利息でござる」のお話は、歴史秘話としては面白いものの、さすがに大名貸しの利息とベーシックインカムを並べるのは話が飛躍しすぎかと。
歴史的にベーシックインカムを語るなら、最も比肩しうるのは、古代ローマの「パンとサーカス」でしょう。
愚民化政策として現代では悪名高い「パンとサーカス」ですが、末期にそうなったというだけで、実際には数百年間、中間層の貧困化への救済政策として有効に機能していました。
その支給額は一世帯小麦5モデュルム(約32.5キロ)で、現代日本の消費量の約8倍にあたる非常に裕福なものです。
また市民には年間120日の祝日が保証され、無料または安価で各種の娯楽が提供されていましたが、それがローマ市民としての最低限の暮らしのレベルを保証するものと考えられていました。
この制度が崩壊したのは、肝心の穀物の供給地だったエジプトをイスラムに奪われたからです。
この後中間層の公的な救済政策は800年後、新たな大帝国を築いたイギリスの救貧法まで行われることはありませんでした。
つまるところ、中間層の救済政策は国が上昇しているときに実行可能な制度であり、国力が漸減しつつある日本での実行には大きな疑問符がつく、ということではないでしょうか。今回の話も含めて、BIの議論をしてみて思ったのは、BIに於ける「移民」の扱いの難しさです。ヒューマニズムの理想としてのBIは世界に範囲を拡げる理想を持たないとニセモノなのでしょうが、現実にはBIの運営主体は国(や自治体)となるので、国境を越える人の動きにどう対応するかが難しい問題になる。
もっとも、「足による投票」を積極的に活用して、自治体単位でBIと消費税の組み合わせをを自由に変えられるようにして、自治体間の制度競争を行うと、自治体の効率化とBIの普及が一気に進むかも知れない、などとも考えた。エビデンス・ベースの議論にはできないのかなぁ、、、と思います。
質の高い論理的な検証を続けて、その結果としての選択肢の広がりを、ProsCons DosDonts を合わせて意思決定者に伝達できる専門家集団に、十分な資金と時間が提供できる環境が、そもそも必要だなぁと、流し読みしながら感じました。
(論点が広すぎて、ポイントがつかめない感じで、すいません、知性不足です。)