iTunes、スポティファイ……、歴史が証明する「成功の秘訣」(後編)
2016/08/10, NewsPicks編集部
緊急特集「スポティファイ来襲」
iTunes、スポティファイ……、歴史が証明する「成功の秘訣」(後編)
2016/8/10
世界最大の音楽配信「スポティファイ」の日本上陸を前にした緊急特集。スポティファイの戦略を、音楽ビジネスの現状とともに詳細分析する榎本幹朗氏による寄稿を3回に渡って掲載中。前編、中編に続き、後編のスポティファイ普及のカギを握る大物アーティストの参加についての考察を記す。
*目次
・【スクープ】音楽配信の王者「スポティファイ」、ついに日本上陸
・赤字の8000億円企業スポティファイは、IPOで勝ち残れるのか
榎本幹朗氏 寄稿(3回)
・前編:【3分読解】スポティファイはなぜ世界一を獲れたのか
・中編:スポティファイ上陸、足止め4年「真の理由」
・後編:iTunes、スポティファイ……、歴史が証明する「成功の秘訣」
“無料”と戦ってきた音楽
スポティファイの快進撃で、世界に定額制配信のブームが始まっている。
世界最大手のレコード会社ユニバーサルミュージックは、1日に4億円を定額制配信などストリーミングで稼いでいる。ポケモンGoは開始から半年で780億円を稼ぐとされているが、1日あたり4億円強だ。だいたい同じくらいということになる。
だが定額制配信がブームに至る道程は、決して平坦なものではなかった。
実は、その歴史はアップルの「iTunesミュージック」より古い。2002年、ファイル共有(日本で言えばWinnyなど)の爆発的ブームのなか、アメリカのレコード会社が鳴り物入りで始めたのが定額制配信だった。
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コメント
注目のコメント
寄稿者の榎本です。連載が終わっての挨拶となりましたが、いかがだったでしょうか。スポティファイから出た新人の具体例を紹介したかったのですが、字数に達してしまいました。
ほかに広告売上とサブスクリプション売上を組み合わせたスポティファイの分配の仕組み、
CDがよく売れる大物アーティストさんにも納得してもらえるよう、もっと稼げる仕組みを作るとしたらどんな方向があるのか等々、いろいろお話したいところでした。
IT時代にできた常識もいろいろ古くなってきました。
中編でYouTubeを巡る常識の変化を紹介しましたが、例えばソーシャルメディアとの関わりや音質の問題、好みの音楽ジャンルなどを巡ってもこれまでの常識に反する調査結果が出ています。
また機会がありましたら、書き残したことに触れたいと思います。お読みいただきありがとうございました。音楽の取材を続けてきていて、日本では、アーティストが自分の「食い扶持」について、声を挙げるすることが極めて少ないと思います。
そもそも音楽家たるものビジネスを語るのが余り良いことではないとされているのか、CD絶頂期からの流れで戦略はレコード会社が全て考えていたからなのか、、、「音楽とビジネス」を語れるのは、数人の決まったベテランの大御所というイメージでした。
ようやく定額制配信がやってきて、この2、3年で少しずつ若い世代にも、自分たちの消費され方への主張・選択する新たな御意見番が、ポツポツ出てきたと思います。スポティファイなど、サービス側だけでなく、彼ら若い音楽家が中心となって、新たな音楽産業を作り上げるぐらいになれば、面白いなと思っています。
今回、3回に渡って寄稿頂いた榎本幹朗氏には、今後も断続的に執筆頂ければと思っています。めちゃくちゃ面白いストーリー。
これぞ起業家、ですな。
『前提を疑え』
当時の「音楽は違法ダウンロードで聞く」という当たり前を疑い、ならば「合法にストリーミングで聞く」サービスをつくろう、と。
『難問は技術革新で突破する』
当時はネット回線の問題でボタンを押してから再生されるまでに多くの時間がかかっていたが、技術革新で解決。ユニバーサルミュージックに話を持ちかけた。
『最後は超営業力で突破』
当初は無碍に断られたが、めげることなく、何と2年もの間ひたすらユニバーサルミュージックに通い続け、時には玄関前で寝泊まりしたという。恐ろしすぎる凄まじい営業力。