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新部門「ビルディング8」の責任者へ

フェイスブックが、テスラモーターズの上級幹部を引き抜いた。同幹部は、フェイスブックの新しいリサーチラボ「ビルディング8」に配属される。ハードウェア製品のハイペースな開発という任務を負うビルディング8に、また新たな大物が投入されたことになる。

つい最近まで、テスラ製品技術部門のバイスプレジデントを務めていたリッチ・ヒーレイは、ビルディング8の責任者としてフェイスブックが4月に迎え入れたグーグルの元幹部、レジーナ・デューガンの直属になる見込み。フェイスブックはヒーレイの採用を事実と認めたが、それ以上の詳しい説明は行わなかった。

世界最大のソーシャルネットワークであるフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、同社における技術革新のペースアップを目指している。同社は「時間をかけて何百人もの人材と何億ドルという資金をハードウェア開発に注ぎ込む」つもりだと述べてきた。

ビルディング8は、果敢なスケジュール設定で最新ハードウェア製品をつくることに明確な重点を置いており、大学やフェイスブックの各部門と協力して、それらが持つ技術やソフトウェアを基に開発を進める。

フェイスブックには、すでに「オキュラス」の仮想現実(VR)ラボや、世界のより多くの人々をインターネットにつなげるための「Internet.org」ラボがある。後者は、人工衛星を使ってインターネット接続サービスを提供するドローンを開発している。ビルディング8は、こうしたラボで行っている取り組みとの重複を避けつつ、同社の目標を推し進めることになる。

ヒーレイの移籍に関するコメントをテスラに求めたが、即答は得られなかった。

テスラ製造部門幹部たちの憂鬱

LinkedInのプロフィールによると、ヒーレイは36歳。2013年11月にアップルからテスラに入社した。同氏はイーロン・マスクCEO直属の部下となり、1月にテキサスA&M大学で開かれた「SpaceX Hyperloop Pod Design Weekend」で審査員を務めるなど多方面で活躍する。

ヒーレイの退社は、テスラにとって重大な時期と重なる。

テスラは当初の予定を2年早め、2018年までに年間50万台を生産するという野望を抱いている。だが、2015年の生産台数はわずか5万658台。直近の2四半期は自社の売上予想に届かなかった。

マスクは投資家たちに向けて、テスラは「世界最高の製造業者になることを強い決意で目指している」が、ここのところ製造部門幹部たちの離脱という困難に見舞われていると述べている。

テスラの製造担当バイスプレジデントで、同社の最高給取りの1人だったグレッグ・ライコウは、5月に同社を去った。

いっぽう、米規制当局も現在、フロリダで起きた「モデルS」の死亡事故を調査している。死亡した運転者が、テスラが昨年10月に発表した半自動運転機能「オートパイロット」を使用して走行していたものだ。

原文はこちら(英語)。

(原文筆者:Dana Hull、Sarah Frier、翻訳:阪本博希/ガリレオ、写真:hocus-focus/iStock)

©2016 Bloomberg News

This article was produced in conjuction with IBM.