次なるシティはどこか?金融センター候補9都市を採点
2016/07/06, NewsPicks編集部
パリ、フランクフルトは何位か?
次なるシティはどこか?金融センター候補9都市を採点
2016/7/6
ブレグジットに伴い、欧州の金融センター、シティの地位が揺らぐ可能性が生まれている。では、シティに代わる欧州の金融センター候補はどこか。ニューヨーク・タイムズのJAMES B. STEWART記者が関係者へのインタビューなどを基に、各都市を採点した。
10〜40%が異動か
ロンドンにとって代わるための競争が始まった。
英国が欧州連合(EU)離脱の決定を覆す方法を見つけない限り、ニューヨークよりも上にランクされる傑出した世界金融センターとしてのロンドンの地位は終わりが近いかもしれない。
私は先日、ロンドンで合計数万人を雇用する主要金融機関の幹部数人に話を聞いた。欧州本部を近くロンドンから移転する計画があると述べた幹部はいなかったが、かなりの数の高給の社員をEUに残留する国の都市に異動することになるだろうという点で意見が一致した。
人事異動担当のある幹部(政治的に微妙な問題であるため、全員が匿名を条件にインタビューに応じた)は、異動を余儀なくされる可能性のある従業員の数を10~40%と見積もっており、「業界全体では社員数万人とその家族になる。その大半が大金持ちであることを忘れてはならない」と述べた。
大きな影響を及ぼし得るこの賭けに勝利するのはだれだろうか。
主要金融機関の幹部に聞き取り
私は主要金融機関の人事異動の専門家にロンドンの代わりとしてどの都市を考えているか尋ねた。
また、ロンドンのZ/エン・グループのディレクター、マーク・イーンドルにも話を聞いた。イーンドルは、 金融サービス業にとっての魅力に基づいて都市をランク付けする世界金融センター指数を発表している(英国が国民投票でEU離脱を決める以前の調査では、ロンドンが圧倒的勝者だった)。
ランク付けの際に最も重要とされるのは、世界の労働力を引き付けるのに不可欠な英語の能力、特に雇用に関連して金融機関に好意的な規制環境、優れた輸送と通信インフラ、高級オフィススペースや住宅があるかどうか、よい学校、おいしいレストランや文化的な環境、そして見えない要素──ある種のエネルギーレベルがあり、高給取りで競争心の強いロンドンのシティやウォール街によくいるタイプの人々の流入にオープンであることなどだ。
私はEUの主要都市のいくつかを60点満点で評価した。
オフィススペースと住宅 を5点、レストランと文化環境を5点とした。どの都市でも新しいオフィスや住宅を建設したり、才能のあるシェフやエンターテイナーを呼び寄せたりすることは容易だからだ。残りの要因については各10点とした。
上位9位から首位の都市は以下の通りだ。
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コメント
注目のコメント
蓄積している資本の大きさ、リソースの厚み、法規制の自由度、シティを中心としたタックスヘイブンのネットワーク、全てにおいてここに出てきている都市とは比較にならない。流出先としてはEU圏と関係なくチューリッヒやNY、さらには香港、シンガポールなど金融センターとしての地位を確立している都市の方が、既にEU圏との取引フローも整備されているし現実的。
イギリスは元々ユーロもシェンゲン協定も組み入れていないので、ここからEU離脱に向かったからといって喧伝されているほどロンドンの地位が低下するようには思えません。それにたとえ地位が低下したとしても、それが即EU圏の他都市の地位向上に繋がるわけではないでしょう。それよりも欧州金融の混乱を横目にニューヨークをはじめとした別地域の他都市の地位向上のほうが現実的のように思います。
ウィーンの高さが意外。個人的には、英語含めて3位にはいっているダブリンが結構有力なのではないかと思う。税メリットもあるし、人材という観点でもネット・医薬品企業が結構拠点を強化していた印象がある。金融はロンドンが強かったゆえにまだそこまで人財移動が始まっていないと思う(印象論)が、拠点を移し始めればそれに追随して人も移るのではないだろうか?あまりパリ・フランクフルトはそのイメージはない。