ニッポン放送買収の担当者が唱える「テレビ局の生存戦略」

2016/3/5
ライブドアによるニッポン放送買収──世間をにぎわせたこの“事件”から、はや11年がすぎようとしている。当時のライブドア側の担当者であった経営共創基盤(IGPI)の塩野誠パートナーは、テレビ局の今をどう見ているのか。テレビ業界の潮流とあわせて、テレビ局の「生き残り戦略」について提案する。  

テレビの規制アービトラージ

これまで地上波テレビ局というのは、各局の売上高合計が2兆3000億円にも上る大変儲かる商売でした。なぜ儲かるかといえば、それは単純な話で、規制産業だからです。国から電波を割り当てられているからです。
テレビ各局は、電波利用料を総務省に払っていますが、民放キー局が支払っている金額は約4億円です。それに対して、広告収入は、各局1800億円ずつくらいあるのですから、とてつもないレント(超過利潤)です。地上波テレビほど、規制アービトラージが大きいビジネスはあまりないでしょう。
ただし、その状況を闇雲に批判してもしょうがありません。
そもそも、なぜテレビ局が規制に守られているかというと、電波が有限で希少性のある公共の財産だからです。公共財だからこそ、テレビ局には、「バラエティ番組ばかりをずっと流すのはNG」といった、縛りがあるのです。
テレビ業界のもう1つの特徴は、民放キー局と地方ローカル局の間のネットワーク協定です。