(ブルームバーグ):この数週間、米アマゾン・ドット・コムが世界的な配送・物流事業を始める計画だとの観測が広がっている。実際に参入すれば、米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やフェデックスと争うことになる。

アマゾンのブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は先月の決算説明会で、同社が航空機をリースし、海上運送事業も登録していたとの報道に関する質問に対し、アマゾンは配送パートナーに取って代わるというのではなく、クリスマスの買い物シーズンなどのピーク時に補完することを目指しているだけだと説明。控えめな物言いにとどまった。

しかし、ブルームバーグ・ニュースが閲覧したアマゾンの資料では、それをはるかに上回る大胆な計画が明らかになっている。

2013年のアマゾン経営陣への報告では、同社のウェブサイトで商品を売る独立系業者向けに保管や包装、配送サービスを提供する「フルフィルメント・バイ・アマゾン」の積極的な世界展開が提案されている。この報告は、中国やインドの工場からアトランタやニューヨーク、ロンドンの顧客への商品フローを管理する世界的な配送ネットワーク構築を想定している。情報が公になっていないとして匿名を条件に話した事情に詳しい関係者によれば、「ドラゴンボート」と呼ばれる同プロジェクトは進展している。

アマゾンの野心的な戦略が実現すれば、フェデックスとUPSがアマゾンのライバル企業になるだけでなく、中国のアリババ・グループ・ホールディングにも対抗することになる。アマゾンとアリババは急拡大するクロスボーダーの電子商取引市場の主導権を争っており、アクセンチュアとアリババの研究部門アリリサーチの昨年6月のリポートによれば、同市場は20年までに9億人の買い物客を有する1兆ドル(約115兆円)産業に成長すると予測されている。

アマゾンの資料によると、同社の計画は年内にも「グローバル・サプライチェーン・バイ・アマゾン」と呼ばれる新規事業の開始という形で現実のものとなる公算がある。アマゾンはフェデックスやUPSなどの配送各社だけでなく、貨物や国際貿易に関する書類業務を扱う多数の中間業者も通さずに世界の出店者から商品を集め、低価格でトラックや航空機、船舶のスペースを購入したいと考えている。各業者はオンラインや携帯端末経由で貨物スペースを確保することができるようになり、アマゾンが「切れ目のない国際貿易・配送向けのワンクリック輸送」と表現するサービスが実現することになる。

原題:Amazon Building Global Delivery Business to Take On Alibaba (1)(抜粋)

--取材協力:Michael Sasso、Jack Clark.

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