BLM_HR_JPEG.248589890_3 (1)

強気の手に打って出たフィットビット

フィットネス・トラッカー業界をリードするフィットビットが、得意分野に的を絞ったファッショナブルなスマートウォッチを発売する。

2015年はフィットビットにとって重要な年だった。4月にはアップルが「アップルウォッチ」を発売し、ウェアラブルとフィットネス・トラッカーのメーカーへの戦いを挑んできた。

そして、6月にはフィットビットが予想を上回る規模の新規株式公開を行って株式を上場した。こうした節目を迎えた後の初の新製品として、フィットビットは強気の手に打って出た。ファッションセンスが印象的な、同社初のスマートウォッチ「ブレイズ」を発表したのだ。

厳密に言えば、ブレイズはフィットビットにとって初のスマートウォッチではない。その称号は「サージ」に与えられるべきだろう。サージはオバマ大統領がジェリー・サインフェルドとドライブに出かけたり、あるいはファースト・ドッグ(大統領一家の愛犬ボー)を散歩させたりするときに着用していたことで知られる製品だ。

しかし、フィットビットの製品の中で、エベレスト登山にふさわしくない「腕時計」は、このブレイズが初めてだ。

あえてカスタマイズしない、GPSを内蔵しない

シルバーとブラックを組み合わせたブレイズはたしかに少々アップルの競合製品に似ているが、オープンラグのデザインを採用したことにより、手首に着けたときにはライバルよりも軽そうに見える。盤面はやはりスクリーン然として見えるものの、少なくとも人に好印象を与えようとしているデザインではある。

オプションのリストバンドが豊富に取り揃えられており、カスタマイズできる。標準で付いてくるのはフィットビットのユーザーにはおなじみの細かい織り目加工を施した、ブラック、プラム、またはブルーのラバーバンドだ。

そして、もしその方が好みにあうのなら標準品とは異なるラバーバンドや、本革バンド、メタルブレスレットを別途購入して交換することもできる。

バンドは、トラッカー本体(黒い正方形のユニット)を囲むシルバーのフレームに取り付けられており、本体をそっくりそのまま別のバンドに差し替えられる構造になっている。

なお、少なくとも発表の時点では最初から標準のアクティブラバー以外のバンドと組み合わせて買うことはできない。これは、この製品が基本的にはフィットネス向けのスマートウォッチであることを強調するものだ。

ひとつの重要なポイントがそこにある。ブレイズは、動作が重くなるほどたくさんのアプリを入れたり、デジタルライフ全般をオーガナイズするためにカスタマイズしたりできるスマートウォッチではないのだ。

その基本的な意図は、常時着用できていくつかの便利な追加機能を提供する、気の利いたフィットネス・トラッカーとして使われることにある。

フィットビットのフィットネスアプリとの連携以外にも、カレンダーに登録した予定や、通話とテキストメッセージの着信のプッシュ通知をしてくれるが、Eメールやツイッターの通知といった領域には踏み込んでいない。

画面は、ソフトな印象の(だが退屈なデザインではない)フルカラー・ディスプレイだ。メニューのナビゲーションはフレームにある複数のプッシュボタンか、タッチスクリーンの操作によって行う。

運動や睡眠は自動的に検出され、心拍計はつねに機能しているので、日常的な活動をしているときに必要な操作の手数は最小限に抑えられている。

GPSデータはユーザーのスマートフォンから取得する必要があるが、あえてGPSを内蔵しないことによって数日間のバッテリー駆動時間を実現した。これは、フィットビットがこの種の製品できわめて重要と考えるポイントだ。

機能を絞ったことが、競争相手に負けない強み

フィットビット・ブレイズの予定価格は、トラッカー本体と付属のラバーバンドのセットで200ドルだ。オプションのラバーバンドは30ドル、本革バンドは100ドル。

スチール製のメタルブレスレットが一番高価で、130ドルで販売される。また、今後数カ月のうちにトリーバーチなどのファッションパートナーと共同でプロデュースしたリストバンドも提供する計画だという。

ブレイズのベースモデルの価格はサージよりも安いが、本革バンドやメタルブレスレットを追加すると、アップルウォッチ・スポーツやモト360などと直接競合する価格帯になる。

「フィットビットはもっぱら健康管理とフィットネスに焦点を当てている。まずこれを理解してもらうことが重要だ」と、フィットビットのCEOで共同創立者でもあるジェイムズ・パークは、他のスマートウォッチとの競合についての質問に対し、Eメールで寄せた回答の中で述べた。

「このフィットビット・ブレイズを世に送り出すにあたって、わたしたちはフィットネスを最優先し、機能が多すぎてユーザーを困らせることがないように、有意義なスマート機能だけを持たせたスマート・フィットネスウォッチを開発した。このように機能を絞ったことが、競争相手に対するわたしたちの強みだ」

フィットビット・ブレイズは、同社のウェブサイトから予約することができ、アメリカでは1月6日からアマゾン、ベストバイ、ターゲットなど、フィットビット製品を取り扱う大手小売店でも販売予約を開始した。アメリカ以外の国での発売予定はまだ決まっていないが、2016年3月には世界各国でブレイズの販売を始めるという。

原文はこちら(英語)。

(原文筆者:Stephen Pulvirent、翻訳:水書健司/ガリレオ、写真:David Paul Morris/Bloomberg)

©2016 Bloomberg News

This article was produced in conjuction with IBM.