【楠木建×IBJ社長】お見合い件数を増やせば、少子化も止められる
2015/11/27, NewsPicks編集部
戦略ストーリーの達人たちIBJ編Vol.3
【楠木建×IBJ社長】お見合い件数を増やせば、少子化も止められる
2015/11/27
成功する企業には「優れた戦略」がある。優れた戦略の条件は「そこに思わず人に話したくなるようなストーリーがあるかどうか」と説く楠木建・一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。本連載では、「戦略ストーリーの達人」たる経営者との対話を通じて「稼ぐ力」の中身を解明する。
結婚相談所にとっての「いいお客」
楠木:石坂社長率いるIBJは2000年に婚活サイト「ブライダルネット」を創業。しかし、会員数が増え儲かったのはいいが、肝心の会員の成婚率、つまり結婚できる人が増えないことは、事業の目的を果たしていないと、原点に立ち戻って考えた。
お見合いパーティーの運営や全国のやり手仲人さんのノウハウを仕組み化するなどネットとリアルをシームレスにつなげた戦略ストーリーがあったわけですが、この戦略の典型的な勝ちパターンを説明してくださいますか。
石坂:お見合いパーティーや婚活サイトに参加された方々に、きちんとしたサービス、すなわち成婚をゴールとしたクオリティの高い価値を提供すると、会社に対する信頼感が生まれます。これによって、われわれも結婚に結びつきそうな良いお客さんを選べるようになります。
楠木:結婚相談所や婚活サイトにとって、良いお客さんとは?
石坂:そもそも結婚相談所に行こうかなどとは考えていなかった人です(笑)。こういう人は、生涯未婚の不安を煽るような広告には飛びついたりしないため、他社と比較することなく、わが社に入会してくれます。
楠木:なるほど。
石坂:お客さんも、ちゃんと納得したうえで入会してくるため、クレームも少ない。信頼関係のもと、お見合いを進めていくので、成婚数はどんどん上がっていきます。直営の結婚相談所の場合、パーティーや婚活サイト経由で会員になる人が8割もいます。
直営結婚相談所の成婚率は53%
楠木:さほど結婚を意識していない人がまずはお見合いイベントのようなライトなサービスを活用し、IBJを気に入って、そして結婚を意識するようになって、系列の結婚相談所に移行するというツーステップなわけですね。
石坂:はい。ほかの大手の結婚相談所とは集客のルートも違うし、加盟店同士の顧客の奪い合いもほとんどありません。直営店舗は東京、名古屋、大阪という大都市圏だけ、加盟店は地方ですから。また、直営店舗は今後もう増やさない予定です。
一方、同業他社は店舗拡大でしか売り上げを伸ばせない状況になっている。でも、こうした属人的なサービスは、大きくなれば確実にクオリティが落ちていきます。
しかしながらわが社直営の結婚相談所9店舗で、カウンセラーが付くサービスを利用した場合、成婚率は53.3%もあります。
newspicks.com
プレミアム会員限定の記事です
今すぐ無料トライアルで続きを読もう。
オリジナル記事 7,500本以上が読み放題
オリジナル動画 350本以上が見放題
The Wall Street Journal 日本版が読み放題
JobPicks すべての職業経験談が読み放題
コメント
注目のコメント
昨日学生と話てた時に、博士課程とかどう?と聞くと、「僕、早く結婚したいんですよね。だから博士はちょっと。。。」とのコメント。最近感じるのですが、近頃の若者の結婚への意識はまた少し変わってきている気がします。こういうビジネスにも、時代の波がかなりあるのかなぁと。
ちなみに、博士課程に来たからといって、結婚できないということはありません。むしろ、博士課程中の学生結婚多いです。↓ 結婚確率が高い属性の方を見出されて、その方々に登録してもらうアプローチとかされていないのでしょうか…。
「楠木:結婚相談所や婚活サイトにとって、良いお客さんとは?
石坂:そもそも結婚相談所に行こうかなどとは考えていなかった人です(笑)。」