目標は1兆円。セブンの「オムニ7」はアマゾンに勝てるのか?

2015/11/2
日本の流通を語るとき、欠かせないプレーヤーが、セブンイレブン、イトーヨーカドーなどを擁するセブン&アイ・ホールディングスだ。コンビニ、スーパー分野の王者である同社は、オムニチャネル戦略を急ピッチで推進。2015年11月1日には新たなeコマースサイトを立ち上げた。2018年度にオンラインで1兆円の売上高を目指す同社は、アマゾンの強力なライバルになるのか。「アマゾンvs.セブン」の競争の行方を、アナリスト集団ロンジンの椎名則夫アナリストが分析する。
読者に伝えたい3つのポイント
・2015年秋から冬は、セブンの参入もあり、B2CのEコマース市場が再び盛り上がるだろう。
・セブンの「オムニ7」はコンビニ事業の強化とグループの経営資源の活用が狙いで、アマゾンへの直接的な対抗策ではない。
・しかし、「オムニ7」はアマゾンに対する防衛策として機能させたいという意図も垣間見える。

本命セブンが参入。3年後には600万アイテムへ

2015年11月1日、セブン&アイ・ホールディングスがネットショッピングサイト「omni7(オムニ7)」をスタートした。
2015年11月1日からスタートした「omni7(オムニ7)」。10月1日から販売を開始し、売上好調が伝えられる、ジャンポール・ゴルチエとのコラボ商品などがアピールされている
このサイトは、まったくの新顔というよりも、同社の傘下にあったECサイトのくくりなおしという側面がある。具体的には、7net、西武・そごう、イトーヨーカドー、アカチャンホンポ、LOFTのサイトが集結している。
 
「オムニ7」の始動は、B2CのEコマース市場に新しい風を送り込むことが期待されている。当初300万アイテム、関連売上900億円を目標にスタートし、2018年度にはこれを600万アイテム、1兆円を目指すという積極的な目標も掲げている。

ヤフーもECへの投資を加速

興味深いことに、ヤフーも10月から2016年3月にかけて、ショッピングやカードなどのコンシューマ事業に積極投資すると表明した。ショッピング事業の強化のために、前年同期比約100億円増のプロモーション予算を投入するという。
ヤフーのEC事業のうち、オークションの流通総額は2015年7−9月期で2032億円。これは前年同期比6%増であり、成長率という点でここにきてやや鈍化傾向がみられる。他方でショッピング関連事業は前年同期比27%増となる1139億円に達するなど、4−6月期から加速感が出てきた。そろそろ勝負所と判断したのだろう。
このプロモーションの原資にはからくりがある。2015年上期のアスクル連結化に伴う再測定益597億円だ。
「業績の踊り場はあっても減益基調を続けるのは良しとしない」というのがこれまでのヤフーの暗黙の了解事項だったと思われる。2016年度はこの一過性の利益かさ上げ要因がなくなる以上、これに見合うプロモーション成果とコスト抑制を1年後までには出さなければならないはずだ。向こう半年から1年程度、ヤフーのショッピングとカード事業における熱量が高まりそうだ。