深刻な「イオンの病」。改革のために何をすべきか
2015/10/20, NewsPicks編集部
手厚すぎる株主優待、下がり続けるROE
深刻な「イオンの病」。改革のために何をすべきか
2015/10/20
読者に伝えたい3つのポイント
・イオンは小売りで稼げず、クレジットカード事業とショッピングモール事業で稼ぐ体質が定着。構造不況のGMSを抱えており、コンビニに代表される小商圏対応に遅れている。
・非食品の小売りを合理化し、テナント活用によるモール強化とカード事業の強化に向かうべき。
・M&Aによる事業拡大よりも、当期純利益にフォーカスしたエクイティストーリーを再構築する時期。
イオンの株主優待は手厚すぎないか
アナリストという私の仕事柄、「親戚や知人にお勧めの株主優待は?」と聞かれることが多い。そのとき、少し逡巡(しゅんじゅん)するものの、イオンはどうかと勧めている。
配当利回りは1.5%程度で市場平均並みだが、注目は個人株主向けの「株主ご優待カード」である。20万円弱を投資し100株持てば、半年で100万円までのイオンでの買い物について3%のキャッシュバックを受けられる。
20日、30日の「5%オフ」の日もその恩恵がある。イオンの売価が競合店舗より3%高いなら別だが、そうでなければ、これはかなり魅力的な優待と言える。筆者は仕事柄、現在この株を買うことができないが、そうでなければぜひ使ってみたい。
newspicks.com
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コメント
注目のコメント
この会社は複雑怪奇ですよー。なにせ連結子会社が280社もある。社長をはじめ役員も全て把握してるとは思えない。
これだけ分かりにくい企業グループゆえに、企業統治の視点から問題を数多く抱えているが、この記事の中では2つの重要な点が指摘されています。
第1に、親子上場です。日本郵政で再び話題になっている日本の悪しき慣例。東証には親子上場の事例が全部で約280件ありますが、イオングループだけで18社の子会社が上場してます。有名なところはイオンモール、イオンフィナンシャル、ウェルシア、ミニストップ等。
加えて、香港とマレーシアの海外子会社(いずれも食品スーパー)も上場してるし、タイの金融関連会社に至っては、イオンフィナンシャルの子会社なので孫会社の上場です。 もうわけ分からんです。
国内外の子会社の経営判断や利益動向は51%の株式を持っている親会社の意向で100%決定されてしまっている。Kasakawa氏の表現を借りると、ガバナンスはガバガバです。
国内外の上場子会社の時価総額は2.6兆円。イオンはこの半分の1.3兆円を保有してます。しかし、現在のイオンの時価総額は1.5兆円しかない。つまり、国内の大型スーパーに対する株式市場の値付けはわずか2,000億円。
第2に、株主優待です。
これによって、イオンの株は個人株主にとっては3%以上の利回りの金融商品に化けますが、イオンの店に行けない外国人投資家にとってはそんなことは関係ない。彼らにとっては配当利回り1%台の株に過ぎない。
もはやイオンは口うるさい外国人投資家を自ら避けているとしか思えない。イオンは古くから「ゆるやかな連邦経営」と言われ、株を持ってもあまり口を出さずに、緩やかに連携するという姿勢だったのが、最近はようやく少し変わりつつありますよね。ドラッグストアなんかは積極的にグループを作りに来ているように感じますが、まだまだ甘いという指摘。収益源となる会社はしっかりと取り込み、そうでない会社は整理する。
イオンは小売業という区分だが、実態としては金融業/不動産業に近い印象。であれば金融業としてのポートフォリオマネジメント力をもっと高めていく必要はあるでしょうね