「マネックス証券」初めての記者会見で狙った演出と“出井効果”

2015/10/2
1999年、ソニーの出井伸之氏とマネックス証券のオフィスにて。

思い知った「個人」の小ささ

1999年4月に会社を設立し、株売買手数料自由化のタイミングに合わせて同年10月1日に営業開始しました。
創業準備期は苦労の連続でした。まず思い知らされたのは、個人としての自分自身がいかに小さいものであるかということです。ゴールドマン・サックス証券のパートナーという肩書きが持つ社会的信頼の大きさに比べた時には、雲泥の差。それは日常の至るところで痛感しました。
たとえば大阪へ出張に行くことになった時、ゴールドマン時代に長くお世話になっていた旅行代理店の担当者に電話をかけ、チケットの手配をお願いしました。急なニューヨーク出張にもすぐさま対応してくれていたので、頼りにしていたのです。
ところが、どうも電話口でゴニョゴニョ言っています。
「現金前払いでお願いできますか」
以前はニューヨーク行きの航空券がいつでも後払いだったのに、自分の会社を起業したとたん、大阪行きの新幹線でさえ現金前払いとは。冷や水を浴びせられるような思いがしましたが、今考えると至極もっとも、当然のことです。