誰からも頼まれていない「松本レポート」を毎日書く

2015/9/23

共通するのは「超人的な精神力」

私がソロモン時代に学んだことをもう一つ。これはJMに限ったことではありませんが、ウォールストリートの巨人たちに共通していたのは「超人的な精神力」でした。
1991年に米政府に対する不正入札のスキャンダルを起こしたポール・モーザーというトレーダー。この事件が引き金となって結果的にソロモンは潰れる運命になるわけですが、彼はJMチームの下で動いていて、ニューヨーク時代の私の直属の上司でした。
訴訟を何十と抱え、毎日顔写真や似顔絵入りの記事が主要紙の一面に載っていた渦中の人物だというのに、訪米した際に私がディナーに誘うと喜んで出てきて、オープンな場所で変装もせずに「東京のあのセールスはどうしている? それと、あのお客さんは?」とニコニコしながら食べている。ビジネスの話は遠慮しようかという私の心配なんてまったくのムダになる精神力。ただものではありません。
JMにしたってロングターム・キャピタル・マネジメントという世界中が囃し立てたファンドを潰した後に、間もなく新しいファンドを立ち上げ、迷惑をかけたばかりのお客さんに再度説明に行き、世間の批判をものともしない。
そんな姿を近くで見て、「金融人たるもの、タフでなければならない」という指針のようなものを叩き込まれた気がします。